ロリ後輩と助教授
真白さんに楽曲提供してから暫くたち、俺はいつもの様に朝起きて、泊まっているリューを叩き起こしてから朝食をつくり、いつもの陰キャの姿で大学へと行くと言う生活を送っていた。
季節は春真っ只中。大学近くの桜並木は未だに咲き誇っており、心地良い風が吹いる。そんな中俺は大学へと歩いている。
俺が通う平和農業大学は、マンションから歩いて10分程度の距離にあるので、歩いているとすぐに大学の門が見えてくる。
門をくぐり、学部のある講義室へと向かう途中で後ろから俺を呼ぶ、まだ幼くかん高い声が聞こえて来た。
「おーい先輩! 待ってくださいよー!」
俺が声のする方へ顔を向けると、そこには見た目が中学生位の垢抜けた笑顔が特徴の黒髪ショートの女性「黒羽 梓」が、手を振りながら俺の方へと小走りで向かって来ていた。
「おはようございます先輩! 先輩も今日は朝から講義ですか?」
「ああそうだよ」
「それじゃあ一緒にいきましょうよ先輩」
「えー、やだよ」
「なんでですか!?超絶美女の梓と一緒に歩けるだけでも先輩、幸せ者ですよ!」
「少なくてもお前は美女ではなく美少女だろ! それに周りの視線を見ろ! 完全に美女と野獣ならぬ、美少女と野獣じゃねーか!」
「悪かったですね幼児体型で!」
「と言う訳で、俺は独りで行くから!」
「ちょっ! 待って下さいよ先輩! 一緒に行ってくれないとここで泣きますよ!」
「お前は子供か?!」
「どうせ幼児体型ですよーだ!」
「・・・はぁ、分かったよ。まったく」
「いやったー!」
「なんでこうなるんだよ・・・」
俺は黒羽と共に講義室へ向かう。
黒羽梓は俺の一個下の1年生で俺と同じ食品科学科の学生なのでこうして一緒に歩く事があるが正直言うとかなり迷惑している。
先程も言ったがなんせまわりの男どもの視線が痛い! ただでさえ陰キャの俺が超絶美少女の黒羽と2人で歩いているので生きている心地がしない。
(ラブコメの主人公たちはこれに耐えてきたのかすげーよ本当)と心で感心するほどだ。
そもそもなんで黒羽が俺の様な陰キャとこうしているかと言うと・・・あれは新年度初め、帰りがけに黒羽がナンパされていた所を偶然目撃してしまった。
俺は仕方なく間に割って入り穏便に助けようとしたのだが、相手がいきなり襲いかかって来た為、やむ終えず襲って来た5人を制圧して助けた。なんて事があったのでそれから黒羽はよく俺に絡む様になった。
(本当にやっちまったとしか言えないよなー。お陰で黒羽には懐かれるし、まさか自分がフラグを立てる事になるとは思っても見なかったわ!)
流石にあのまま放置するよりは良かったかもしれないが更に面倒な事になったのは言うまでも無い。
『俺の陰キャ生活がー!!』と叫びたくなる
途中で黒羽と別れ俺は自分の講義室へと向かい扉を開けいつもの定位置である扉近くの所に座る。この位置は講義が終われば目立たずすぐに帰る事ができるのでいつもこの席に座っている。
しばらくしてチャイムがなり講義室の扉が開き若い女性が入ってくる。
「はーい静かにしてね、それじゃあ講義を始めます」
と講義をするのはわずか25歳にして論文が様々な雑誌に取り上げられその方面では有名な平和農業大学助教授「葵 南」だ。
葵助教授は綺麗な黒髪をポニーテールにしてすらっとした体型で、黒羽と違いまさに美女と呼べる女性だ。
食品科学科だけでなく他学部の学生からも大変人気があり正直関わりたく無いランキングNo.1の人だが、この人の講義は分かりやすく流石としか言えない。
俺が黒板を見ながらノートに書き込んでいると、葵助教授はこちら見てかるく微笑みを浮かべて来る。
(・・・あーめんどくせー)
俺は今の微笑みの意味を理解し、どうやって見つからずに帰ろうかを必死に考えた。
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