赤ずきん 2

 これは赤ずきんに出てくる猟師のお話。


 狼は大いびきをかいてベッドの上で寝ていた。

 通りかかった猟師が何かおかしいと思って家の中を覗くと


「やっと、この日が来た」

 そう呟く猟師の顔は憎しみと悲しみに満ちていた。




 俺には可愛い盛りの娘がいた。

 いたというのはその昔、俺が森で狩りをしている時の事だった。

 母の家がある方から悲鳴が聞こえてきたので、何事だと走っていった。


 着いた時に見たのは、母と娘が奴に丸飲みにされていた所だった。

 俺は怒りに任せて何度も銃を撃ったが、奴はそれを全て避け、森の奥へと逃げていった。


 その後、娘が死んだと聞いた妻はショックから心の病になり、程なく娘達の元へ行ってしまった。


 以来俺はずっと、奴を探し続けていた。

 もうどのくらいの時が過ぎただろう。

 だが、やっと見つけた。

 俺から家族を奪った、あいつを。




 辺りに銃声が鳴り響いた後、狼は目を覚ます事なく死んだ。


 そして猟師は狼の腹を裂き、おばあさんと赤ずきんを助け出した。


「二人共生きてるな、よかった」

 ほっとした途端、体が段々と透けていきだした。


「これでやっと眠れるのかな? それとも?」

 猟師が笑みを浮かべてそう言った後、その姿が完全に消えた。

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