第20話 通過儀礼_9 地下組織
「白い装甲服に追われてるって?」
「らしいね」
デフォルトの隣に座る。
宿屋の従業員が飲み物を持って来てくれた。
2ndはテーブルに置かれた黒褐色の液体を一口すする。
「デフォルトちゃん、呼びにくいな、デフォが追われてる理由、知ってる?」
「全然知らない。大体あの白い甲冑の連中は何?」
「そのうち分る。逃げるなら今のうち、逃避行もありだろう。」
そう言えば加藤も白い装甲歩兵に追われていたな。
デフォルトはテーブルの上の大皿からピザのよう食べ物を数枚頬ばっていた。
「……」
「……」
「その辺にして。お客さんがきたから」
加藤が十五六才に見えるの女子を連れて来た。
2ndの隣に加藤は座った。
楕円形テーブルの一孤が埋まる。
立ったままの女子が、一礼した。
「はじめまして。デフォルトの同士でフィレトと言う者です」
「はじめまして」
「はじめまして,ナイです」
「加藤です」
デフォルトは軽く頭を下げた。
「同士って言うのは?」
さっきの廃ビルと言い、中に居た女性と言い――。
不意に電子音、beep 音が鳴った。
フィレトがポケットから拳大の機械を出した。
「説明の時間がなくなりました」
******* *******
第三衛星都市の出入りはIDに付加された出入国手形が無いと出入り出来ない。デフォルトもフィレトも出入国手形など持って無いと言う事だったが。
一行は西門方向へ躊躇なく進んで行く。
「ゲートは使えないんじゃないかな」
「問題ないです」
フィレトはデフォルトを連れてどんどん先へ行く。
復廃ビルの一階に突入する。
今度は一階に店舗もなく、住人がいる様子もなく、まるっきりの廃ビルのようだった。
ついて行くと、一階フロアの奥にドアがあり、其処を開けると、ビルの裏手に出れたようだった。裏手には、誰も通れそうもない、ただの隙間のような通路があり、それを越えると、そのビルにも復ドアがあり、開けると地下への階段を含む踊り場があった。
「こっちも廃ビル?」
「アジトの一つです〉
階段を地下に降りるとドアがあり、赤いランプのドアフォンがあった。
フィレトはボタンを押して、ドアフォンをのぞき込む。
‟コード入力願います”
「F2112=フィレト」
‟開錠します”
******* *******
白い装甲歩兵が帰って行く。
「行っちゃったな」
「どうするつもりだか」
「IDが有効な内は大丈夫だろう」
2ndは煙草を取り出して吸おうとした。
加藤が睨む。
「禁煙だっけ」
「断じて禁煙」
加藤は胸に下げた統合司令部発行のIDを胸ポケにしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます