パラレルワールド1

目が覚める今のは何だったんだろう?


夢で見た。筈なのにすごく鮮明に記憶している。


こんなの初めてだった。


それに僕に話しかけてきたのは、夢くんだった。


もしかしたら、夢くんが何か知ってるかもしれない。


でも、なんて説明しようかな?


今覚えてることをそのまま話せなくはないけど、だいぶ意味がわからない話だった。


それに、夢くんは関係ないかもしれない。


僕の夢に出てきたんだからあれは自分で思ってる事なのかな?


そうだとしたら、可笑しいのは僕だよね。笑っ


話しても、答えなんて返ってこないかもしれない。


話しても、笑われるかもしれない。


話しても、どうなるか、実際は想像がつかない。


それでも、聞いてみることにした。


やっぱり何かおかしい、そんな、思いで僕は部屋を出て夢くんの所に向かう。 朝、8時ごろ。


いない。


いない。


いない。


夢くんが、部屋のどこにも居ない。


どこかに行ってるのかな?


1時間経っても、1日経っても、同じ時が経っても、夢くんは帰ってこない。


家に帰ったのかな?


でも、帰りたくないって言ったのは、夢くんだ。


それなら、何かよくない事が起きてるんじゃないかな?


連れ去られたとか、車に轢かれたとか、崖から落ちたとか。


悪いことばかり考えてる。


今日を含め、3日間、外を僕は、探し回っていた。


でも何処にもなんの痕跡も無い。


そして、家に戻ってある事に気づく。


夢くんの為に用意した洋服、布団、食器、コップ、夢くんが

使っていた、物がどれもこれも元の場所に戻っていたりそもそも無くなっていた。


外だけじゃなく家の中まで夢くんの痕跡が無くなった。


神隠しにでもあったみたいな。


それとも、元々、夢くんなんて居なかったみたいに時間が動き出していた。



数十年が経ち、俺は、子供じゃなく大人になった。


働くようになり結婚はしてないけど好きな人が出来ては振られてを何度か繰り返して、それなりの挫折を経験してそれ以外でも世の中に、落ち込んだり、喜んだり、俺にしては、それなりの人生を歩んだ。


街を歩いていてふと、テレビを、見ると、そこには見覚えのある人物が映っていた。


もう、忘れたと思っていた。あの時の思い出、でも、思い出せたのは、姿が、形が何も変わっていなかったから。


そこに、写っていたのは、子供の夢くんの姿。


何がどうなってる。


こんな事、そんなことあり得るのか?


でも、その子はどう見たって、夢くんだ。


他人の空似とか、夢くんが大人になってその子供でもないだろう。


どうしてそう思えるのかは、分からないけど。


何故か断言できる。


そして、テレビの中で、夢くん?が話し出す。


「皆さん、初めまして。私が皆さんよりも上位の存在の神様です。」


「皆さん、人間は、私たちの劣化版にすぎません。」


みたいな、事を散々話していた。


でも、そんな事をテレビで放送出来ている。


現在は、それが当たり前らしい人間は、自称神様の夢くん達を崇拝した。


僕だけがそこに憤りを覚えているけど、人1人の力などないものと一緒だ。

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