『 木の子ハウス 』

あがりの式から数日後すうじつご


アンたちは、雷太から「木の子ハウス」に招待しょうたいされました。


木の子ハウスは、丘の上の森の中にあるキノコのかたちをした建物たてもので、桜守のライタの仕事になっています。



『カンカーン!』

タオがよびがねを打つと、

『いらっしゃい』

木のとびらがあいて、ライタがむかえます。


中にはいると、

『3がい案内あんないしよう』

ライタは言いました。


木の子ハウスの3階は、大人たちが大切なはないをするところで、これまで未成年みせいねんだったアンたちは、中に入っことはありません。


ライタにしたがい、らせん階段かいだんがると、2階の物置ものおきは電気でんきもついておらず、


さらに上がると、3階は、がらんと何もない、ひろい「えん空間くうかん」になっていました。



ホタル『望遠鏡ぼうえんきょうじゃない!』

みんなのにとびこんできたのは、8つの方角ほうがくにあいている丸窓まるまどと、すべての窓にすえけられている望遠鏡でした。


みんないっせいに窓のほうへっていき、望遠鏡をのぞきんで、自分の家や友だちの家をさがします。


ホタル『あれ アンの家じゃない?』

アン『どれどれ? ほんとだあ!』

北の窓の望遠鏡をのぞき込むと、桜雷岳のふもとにある、アンの家のあお屋根やねがはっきり見えます。


アン『ホタルの家も見えるかな?』

ホタル『どうだろ?』

こんどは、南の望遠鏡をのぞき込みます。


ホタル『う〜ん  あったあった! はっきり見えるじゃない!』

アン『かして あるある! ホタルの家りっぱね〜』

レンズの中には、とおい田んぼのまん中にある夢野家のお屋敷やしきが、まるで、まえにあるかのように見えるのです。


『村人のことは何でもお見通みとおしね』

アンが言うと、

『自然観察かんさつだよ』

ライタは、わらって言いました。



『あっ天窓てんまど!』

こんどはソウが、天井てんじょうをさして言います。


見上みあげると、木の子ハウスのかさの屋根には、大きなドーナツがたの天窓があいていて、ひかりがたっぷりりそそいでいます。


ソウ『照明しょうめいじゃないんだ!』

アン『今日は快晴かいせいだから じゅうぶんあかるいわね』

ホタル『ころんでみよう!』


4人は、フロアの中央ちゅうおうあつまり、あおむけになって寝そべります。


ホタル『うわ〜 青空あおぞらの照明か〜 おもしろ〜い』

アン『う〜ん ドーナツ型の青空って不思議〜』

ソウ『斬新ざんしんなデザインだな〜』


タオ『でもね、掃除そうじがたいへんなんだあ…』

アン『タオ、木の子ハウスの掃除も手伝ってるの?』

タオ『たまにね』

アン『ここの掃除だったら、わたしよろこんで手伝っちゃう』



しばらくのあいだ、そうして天窓を見上げていると、


よるにはほしがきれいでしょうねえ』

ホタルがうっとりしたように言い、

『星を見上げることは、意義いぎのあることなのだよ』

ライタも寝そべって言いました。



『ここでらしたいなあ』

アンは、円の空間が好きになり、こころの中でつぶやきます…



つづく。



❀ AQUAの問い❀


便利べんりたのしい建物をデザインしてみよう!』



家族や友だちと話し合ってみて下さい。

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