金沢のとある厩舎に一頭の新馬がやってきた。名前はアキノドカ。彼女は日本競馬界の永遠のアイドル・ハルウララが産んだ三姉妹の一頭だった。
生涯負け続けながらもその愛らしさで一大ブームを巻き起こしたハルウララに娘がいたら?という架空小説です。
アキノドカは人間も馬も大好きな優しい性格だが、集中力が続かず、勝負事に興味がない問題児だった。
そんなアキノドカだが追い足に光るものを感じた調教師の延信太と女性騎手の霜月神無は、必死に勝利の策を練る。
悪戦苦闘する二人を余所目に、金沢競馬場は新たなアイドルホースの誕生に沸きかえる。多くの人々が見守る中、アキノドカの出走が始まる。
マイペースで緊張感がないアキノドカの先の読めないレース展開にハラハラして手に汗握ります。
そして別の厩舎へ行った姉妹たち、長女ナツサヤカ、三女フユシズカもそれぞれの地で悲喜交交のドラマを繰り広げる。
果たして三姉妹は母の呪縛を打ち払い、競走馬として己の可能性を証明できるのか。彼女たちのレースはまだ始まったばかり。是非、皆さんも見守ってみて欲しい。
(「馬のいる日常」4選/文=愛咲 優詩)