第34話

☆☆☆


一週間後。



廃墟から黒焦げの遺体が見つかったというニュースが流れていた。



火事があって随分時間が経過してからの発見になったのは、損傷が激しくて人だと判別するのに時間がかかったからだそうだ。



あたしはそのニュースを横目で確認してから、家を出た。



今日も空は雲ひとつない快晴だ。



咲も真里菜も光も、そして美緒もいなくなってしまったけれど、あたしにはとてもおだやかな日常が訪れていた。



通学路の途中で友人が待っていてくれる。



お昼を一緒に食べてくれる子がいる。



放課後遊びに誘ってくれる子がいる。



そんな、平和で幸せな毎日。



「それでね、その都市伝説のサイトに書かれていたのはね」



学校へ向かっている途中、どこからかそんな声が聞こえてきてあたしは足を止めた。



しかし、沢山いる学生の中で誰が会話しているのかわからない。



「ナナちゃんどうしたの?」



一緒に登校していた子が、突然立ち止まったあたしに不思議そうな顔で聞いてくる。



「ううん、なんでもない」



きっと気のせいだ。



そう思って再び歩き出したときだった。



「絶対様」



その単語が聞こえてきてあたしは勢いよく振り向いた。



今聞こえたのは聞き間違いなんかじゃない。



間違いなく、聞こえてきた。



「ナナちゃん?」



友人の呼びかけも聞こえてこなかった。



あたしは必死に声の主を探す。



しかしそこには沢山の学生たちで溢れていて、誰の言葉がわからなかったのだった……。




END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

絶対様 西羽咲 花月 @katsuki03

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ