第十三話 食事

「おにくどうぞ」


「ありがとう」


「ありがとうっす」


 ペピカちゃんから肉の乗った葉っぱを受け取る。


「あの肉にしては美味しそうだね。ゴクリ」

 

 肉、それにサラダのつもりか細かく刻まれて乗っている葉っぱは、まるで一流の料理人が作ったように見事な盛り付けされていた。


「わたしもこのへんをすこしてつだった。だからはやくたべてたべて」


「なら遠慮なく。お先にいただきますっす」


「あっ……」


 ムサミは手づかみでパクッと肉を摘んで食べた。だけどアタイは躊躇う。いくら美味しそうに見えても、鉄のように苦かったら食べられたもんじゃ――。


「美味いっす!」


「え!?」


 ムサミの手は止まる事を知らないのか「美味い! 美味い!」とだけ言いながらパクパク肉を食べ続け、あっという間に食べ終えた。


「おかわりっす!」


「いい食べっぷりだな。肉はまだまだあるからどんどん食べてくれ」


「ありがとうっす。えと、お姉さんの名前は……」


「我は魔王『テオ・ミラーレア』だ」


「わたしパピペポプルていこく、29だいこうてい『プペッポ・ピピ・ペピカ』。よろしくムサミ」


「魔王? 皇帝? 聞いたことのない言葉っすが、まあいいっす。テオ殿にペピカ殿っすね。よろしくっす」


「ああ、こちらこそ」「うん。よろしく」


「ではテオ殿。改めておかわりをお願いするっす」


「はいはい」


 テオちゃんにおかわりをするムサミは、よっぽどお腹が空いていたのか、それとも本当に肉が美味しかったのか、両手で抱えるサイズの骨つき肉を貰っていた。


「むしゃむしゃ。美味い! 美味いっす!」


 くぅ〜。


 ムサミがあまりにも美味しそうに肉を食べるから、それをじーーっと見ていたペピカちゃんのお腹が鳴る。


「おなかすいた」


「ペピカ。手伝いはもういいから冷めないうちに早くお食べ」


「わかった。ありがとうテオ。あ〜む。もぐもぐ。おいしぃ〜〜」


 ペピカちゃんが甘いお菓子を食べるアタイのように、幸せそうな顔で肉を食べる。


「そんなに美味しいの?」


「うん。おいしい。ペンタもたべてみて」


 ペピカちゃんが自分の肉を一切れ摘み、アタイの顔の前に持ってきた。

 う、これじゃあ食べないわけにはいかないじゃん!

 アタイは勇気を振り絞り、ペピカちゃんの摘んでいる肉をそのままパクリ。


「もぐもぐ……嘘っ。美味しい」


 鉄のような苦味は消えており、タレを付けたような味付けがされていて、噛めば噛むほど肉の甘味と旨味が程よく絡み合い口の中にとろけるように広がる。

 感動したアタイは、こんなに美味しく味付けをしてくれたテオちゃんへ感謝を述べた。


「美味しい。これすっっっごく美味しいよテオちゃん!」

 

「そうだろそうだろ。こう見えて我、料理は昔から得意なんだ」


「こんなに威厳のある見た目してるのに意外だろ」とテオちゃんは右手を腰に当てながらそう言うが、頭の中でエプロンをつけたテオちゃんを思い浮かべてみると、アタイ達の世話する母親のようなテオちゃんがそこにはいた。テオちゃんのようにエプロンが似合う女性はそうはいないだろう。他のみんなも同意見のようで。


「「「どう見ても料理得意そう(だよ)(っす)」」」


「なんだと!?」


 アタイ達三人同時に言われたテオちゃんは驚いていた。

 だがしかし。


「むぅ。我威厳ある魔王だからな。そんなこと言われて、喜ぶはずないだろぉ〜」


 言葉とは裏腹に周囲がキラキラ輝くほどの満面の笑みを浮かべた。

 やっぱりテオちゃんは可愛いや。

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