1-2 心霊写真の恐怖

 家に帰ってから、僕達は直君の家に集まった。たっ君が「心霊写真の呪いかもしれないから、あの写真を燃やしてしまおう」と言ったからだ。


 僕達はたっ君が家からこっそり持ってきたライターで、この前撮った写真を全部燃やした。白い影が写っていた写真もみんなの見ているところで完全に燃やして、灰を踏んづけた。


 これでもう解決した。僕達は全員そう思っていた。


 ところが次の日、


「これ見て」


 学校で直君がみんなに見せたのは、あの燃やしたはずの心霊写真だった。


「なぜか朝起きたら机の上にあったんだ」


「先生に相談しよう」


 トシ君が言ったけど、そんなこと言えるはずがなかった。池に入ったこと、ライターで燃やしたこと、そんなこと言ったら怒られるだけだ。それにこんな話、信じてくれるはずがない。


 それから三日経って、直君は学校に来なくなった。


 そして先生から知らされたのは、直君の溺死ーー風呂場で溺れて死んだという報告だった。


 僕達三人は、心霊写真の呪いだと思いながら、結局誰にも言えず、四年生が終わった。



 五年生になって、僕達はクラス替えでバラバラになった。


 時間もたち、直君のことも少しだけ忘れかけていたそんな五月ある日、僕の席の後ろの方で、こんな声が聞こえた。


「ちょっと、見て見て、心霊写真撮ったんだ。……あの伝説の池……でも変なんだ。女の人の影が写るって聞いてたんだけど、ほら……。」


 僕は後ろに行って写真を見た。あの写真と同じ女の人の白い影ーーそしてその横に小学生の男の子のような影が写っていた。


 その男の子は直君のようにも見えた。


 僕は反射的にその写真を取って、ビリビリになるまで破った。もちろん喧嘩にはなったが、そんなことはどうでもよかった。



 今、僕の学校には、こんな怖い話が伝わっている。


 学校の裏にある山を越えたところにある小さな池ーーその池のそばに生えている木を撮ると、髪の長い女の人と小学生の男の子の幽霊が写ることがある。しかし、それを撮った者は……。

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