第6話 捜索は迷い込んで
日も暮れかけ、夕陽は姿を消そうとしている頃には集中力も尽きようとしていた。
「見つかんない……」
「三分の一ほど見られただけでもできた方だろ」
終わる気がしないというよりは、食堂で見つかる気がしないといったところ。まるで手応えを感じない。
昼休みは食堂の利用者が多いので、流石にどこで食べたのか覚えていないとのことで
「ここで見つけられなかったらどうする?」
「その考えが既にダメ。死ぬ気で見つけるのよ。時は一刻を争うの」
「そんなに
何なら当の本人は用事があるやらなんやらで帰ってるしな。
というか今回の依頼はどこか不自然な気がする。いやこの状況がもう既に不自然なのは置いといて。
そもそもの話、そんなに大事な物なら、もっと必死になって探すのではないだろうか。
無くしたことに気づいたのが一昨日の帰宅後。何時に家に着いたのかは知らないが、家と学校までの距離が近いのなら探すために学校に戻ってもおかしくはない。
個人個人で得意科目も苦手科目も違うのに。全員に同じ問題を解かせる意味が分からん。
その
学校から二駅ほど遠い自分の家で気付いたなら絶対諦めるけど。ソワソワしながら落ち着かない休日を過ごすとなったとしても。
それに、俺だったら探偵部とかいう
結局本人に聞かない限り、何故探偵部に依頼しようとする気になったのかは分からないままだが。
とはいえ、このまま見つかりませんでしたでは終われないだろう。仮にも人助けをする部活なのだここは。知らんけど。頼られた以上、責任は
せめて、両者が
「あの……質問よろしいでしょうか」
「なに?手早くね」
「もしもこのまま見つからない場合どうするつもりなのかなって」
「それは見つからなかった時に考えるの」
絶句。さも当然のようにノープランと告げてくるとは。予想しなかったわけじゃないが、それはあまりに
少しばかり心臓に鼓動が早くなった気がしたが、吸って吐くのが深呼吸を二回ほど繰り返して脈を落ち着かせる。
懐かしいなアルゴリズム体操……。エンタに出てくる暴走族とのギャップにビビったもんな。めっちゃ喋るやんあの人たち。
「それは行き当たりばったりすぎるだろ」
「私たちが受けた依頼は無くしたヘアピンを見つけること。それに全力で取り組まない方が失礼だと思わない?」
よくもまぁ他人の為に死力を尽くして探そうという気になるな。俺には絶対出来ない。
そもそも
「それはそうだが……。中代が本気で探しているかなんて」
「彼女が何か隠しているとでも言いたいの?」
「え……あ……いやなんて言うか」
俺の思案した内容は言葉にはならず、頭の中で永久機関のように回り続ける。成宮は話の
結局、他人の感情なんて完璧に理解はできない。そんな当たり前のことにつまづいているようじゃ探偵なんて成り立たないのかもしれない。
ただ素直に真っ直ぐに実行できる
「そろそろ日も暮れかけてるし帰らないか?」
「私はもう少しだけ探してから帰るから」
「そうか」
懸命に探し続ける
やっぱり俺が探偵部に必要だとは
どうやって
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