樹木少年の僅かな冒険

スカイ

序章

 幾多のものメロスの谷を超えた峠。木々はアフロディテのエキスを授乳しようと奔走し、空の無力を知るのは赤いトンボだけである。嫉妬に駆られたユグドラシルは星空への欲望のテクノロジーを封じた。


 下層に沈んだ希望の葉を探し続ける日々を続けるのはノアの方舟に乗り遅れた樹木少年。落ち葉を食らい果実を拒む舌を閻魔に引きちぎられることを常に望んでいる。


 マジョリティに囲われたドームの出口は夢を酸素に捧げた寡黙な黄金少女に持っていかれた。扉は無知の領域に泣いているのか、はたまた退屈な平和に怠慢を抱いているのか。

 その心理を導き出すのはたて座UY星を渡り歩くスペクタクルな冒険を嘲笑するほどの至難の業だろう。

 

 とどまならぬ偏見の嫌悪は暴君ネロの如く自尊心のスタビライザーを犯していく。心さえ嘔吐の色彩になった少年にもはや光と闇の区別はつかない。


 だが胎内の羊水を飲み干している頃は少年の心は宇宙へ向かうスペースシャトルのパロディに手を叩いて笑うほどの歓喜を奴隷にしていた。

 真実のディストピアを模倣のユートピアと錯覚する無知なる心は世界の有益な生き方になったであろう。しかしそこが不思議の国ほ

のトランプのナイトであると自覚すればエクステンドの円舞曲は高らかに奏でられる。 


 さて、デーモンコアを知らない植物少年への忠告は激励か慰めか。いやどっちだとしても1950DAを撃ち落とす程の熱狂を含んでいない。ノストラダムスは助太刀を申し出るが予言をブランコの遊具として見る彼女の右脳ほど頼れないものはない。

 

「光の王子様とは結婚出来ないのか!」


 運命を委任した神々はクロノスのカニバリズムに阿鼻叫喚をする。

 響く少年の絶叫は神々の慈悲を動かす術を所持していなかった。

 無力なる少年は、ボキャブラリーを捨て永続の旅路へと向かった。落ち葉の食感は藻屑の先端と酷似している。


 黒い太陽が照らすモノは17の娼婦。男を奮い立たせる愚行の嵐も闇夜に消えていく。樹木少年の枯れ木は生い茂る。理性のネズミは本能ネコに尻尾を噛まれる。

 娼婦は巨大なマーズに変化する。果肉をはにかんだフォトレジストなど抵抗にならず銀河のティッシュに過ぎない。


 拒みを知らない樹木少年はうねる球体は取り込む少年に微笑みを向ける。心を溶かしてしまった樹木少年は果たして樹木少年なのか。アリストテレスは答えてくれない。


 場を包むのは生い茂ったエデンの草木。グラフテイ顆粒水和剤を持てば処女の天使が世界を包むだろう。

 表の勇者は裏の魔物であり自覚せぬ者はコスモの流れ星が本初子午線に亀裂を作る。


 18の歳月を知識と見なした樹木少年はその事実を既に戸棚に閉まっていた。

 どれほどの時が経ったのだろう。恐竜の歯だろうと明らかな真実を提示することは出来ない。

 

 ワンダーコンクリートは見上げていた空を見下していること。紅の空は祝福のクラップを奏でている。

 そして無を信仰した樹木少年はようやく自らのボックスを知る。

 その事実はガンジーが無垢なる少女との乱交に依存していた秘密をゴミ箱に捨てる勇気をくれた。


 おめでとう樹木少年。

 君の偉大なるハンガーの勇気は後世に受け継がれる。ヨーソロー、ヨーソロー、ヨーソロー、ヨーソロー

 狂気のパレードは純白の鍵によって終わりを告げる____




「出産おめでとうごさいます!元気な男の子ですよ!」

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樹木少年の僅かな冒険 スカイ @SUKAI1234

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