第31話 ほのぼの最強ペア完成
「グレンさん!!ありがとうございました!!動けます!!」
1分が経ち、ののかのステータスが60%上昇した。
そして残り4分は無敵状態。
対して偽物のの花の無敵状態は、あと1分くらいだろう。
「【四方裂き】!!」
<【曲芸演武・空中散歩】>
のの花が斧を振るうも、先ほどのグレンと同じ方法でかわされてしまう。
「学習してるね。僕がやったことは、向こうもやってくるよ」
「分かりました!!」
のの花は地面を蹴って飛び上がると、空中の偽物グレンに短剣で連撃を加える。
「【閃撃の双剣】!!」
全ての攻撃を、偽物グレンは長剣1本で弾ききった。
スキルは使っていない。単純なプレイヤースキルだ。
「【雷帝の怒り】!!」
のの花が落とした雷は、素早く後ろに下がって回避される。
そこを槍で強襲するが、長剣に弾かれて与ダメージとまではいかない。
「待たれてる…【驚異的な回避術】の効果終了を」
さっきから偽物グレンは、防戦一方で攻撃してこない。
しかしそれはのの花が圧倒しているというより、今攻撃しても無駄だと割り切られているだけだ。
相手が来ないならのの花にとってはチャンス。
しかし、グレンの培った高いプレイヤースキルに苦しめられている。
のの花がふと視線を花音たちに向けると、4対1で偽物サクラと対峙している。
花音、リュウ、アイリンの偽物はもう倒したのだろう。
「数的有利を作れれば…」
のの花はまだ【連鎖分身】を残している。
ただそれは偽物のの花も同じ。
先にスキルを使えば、先に効果が終わる。
鍵になるスキルに関しては、我慢比べのような状況だ。
「子猫ちゃん!!」
頭を悩ませながら戦うのの花へ、偽物のの花相手に苦戦気味のグレンが声を掛ける。
「【連鎖分身】を持っていたりするかい?」
「持ってます!!」
「僕もだよ!!」
ちょうど悩みの種となっていたスキルが出てきて、のの花はちょっと驚く。
「使わないでちょっと待っててくれ!!」
「分かりました!!」
グレンは再び剣を交えながら位置をずらし、偽物のの花をうまく誘導した。
のの花とグレンが背中合わせになって戦う。
「子猫ちゃん、7人の僕相手に何秒持つ?」
「向こうの【連鎖分身】対策にとっておいたスキルがあるんです。それを使えば、5分は足止め出来ると思います!!でも、向こうの私も使ってきますよ?」
「僕は動けなくなるだろうけど、問題はないはず!!」
「分かりました!!」
「さて、【連鎖分身】!!」
グレンが分身して合計7人になる。
<【連鎖分身】>
<【連鎖分身】>
それに反応し、偽物グレンと偽物のの花が同時に分身する。
「かかった!!」
狙いはこうだ。
グレンが分身すれば、数的不利を補うために相手も分身を使うしかない。
のの花とグレンは意思の疎通が取れているが、偽物たちはそうではないため、同時に2人とも分身してしまう。
8対14の状況を数秒でもしのげば、偽物たちの【連鎖分身】の効果時間が終わってものの花は分身の状態を保つことが出来るのだ。
そうすれば8対2となって状況は一気に逆転。
戦いの均衡を崩すことが出来る。
「【底なし沼】!!」
のの花がスキルを発動した途端、偽物グレンたちの足元が沈み始める。
【曲芸演武・空中散歩】を使ってしまった今、逃げるすべはない。
<【底なし沼】>
偽物のの花も、グレンの足元を沼に変えた。
「子猫ちゃん、今だ!!」
「はい!!【連鎖分身】!!」
これで現状は14対14。
グレン2人が動けないため、ユノ艦隊2隊の勝負だ。
<<<<<<<【閃撃の双剣】>>>>>>>
【連鎖分身】の効果中でなければ倒せないと判断した偽物艦隊が、一気に攻勢をかける。
のの花たちは、それを大盾で防いだ。
【攻撃的盾使い】の効果で、ノックバックが発生する。
そこをのの花たちは槍で一撃。
ここへ来て初めて、まともにダメージが入った。
「いける!!」
「慌てるな子猫ちゃん!!下手に焦ると凡ミスが出るよ!!」
「はい!!」
徐々に徐々に本物のユノ艦隊が有利になっていき、時間が経過していく。
すると、【底なし沼】の効果時間が終わりを迎えた。
偽物グレンたちが、そして本物のグレンたちが沼から飛び出す。
その勢いのまま、激しく長剣を交えた。
そしてさらに時間が経ち、本物のグレンが1人に戻る。
相次いで、偽物たちも元の状態に戻った。
「「きた!!」」
ユノ艦隊のうち本体を含む4人が偽物のの花を、分身3人にグレンを加えた4人が偽物グレンを取り囲む。
「【水斬剣】!!」
「【水斬剣】!!」
「【一網打尽】!!」
「【トルネード・スピアー】!!」
「まだまだ!!【水斬剣】!!」
「【トルネード・スピアー】!!」
「【一網打尽】!!」
「【一網打尽】!!」
のの花2.5人からの容赦ない物理攻撃を食らい、偽物のの花撃沈。
「【五流剣・雷剣】!!」
「【太陽砲】!!」
「【氷柱の雨】!!」
「【太陽砲】!!」
「【五流剣・水剣】!!」
「【太陽砲】!!」
「【太陽砲】!!」
「【大津波】!!」
同時に偽物グレンも集中砲火にあい、防御もむなしく力尽きた。
戦闘が終わりを告げ、のの花も1人に戻る。
「ナイス!!子猫ちゃん!!」
「はい!!ナイスファイトでした!!」
パチンっと音を立ててハイタッチする2人。
ゲームバランス的に息の合ってはいけない2人が、最強のペアを作り上げた瞬間だった。
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