第14話 ほのぼの結果発表

「は~いみんな~、イベントも残り30分!!ここまでの途中経過を発表するよ~!!」


 プレイヤーたちの前にアイリスちゃんが現われ、現在の上位10人を発表してくれる。


「第10位、ラピラピさん!!第9位、ギルさん!!第8位、ナノハさん!!第7位、サクラさん!!第6位、キョーヘーさん!!第5位、リリアさん!!第4位、ゲンカ―さん!!第3位、ミカゲさん!!第2位、ユノさん!!第1位、グレンさん!!」

「やった!!2位だ!!」


 のの花は両手を上げて喜んだ。

 広場の観戦者たち、及びのの花の犠牲者たちは「まあ、そうだろうな」という顔。

 のの花のことを知らない人たちは、「大型新人か⁉」とざわついている。


「ラスト30分!!ここからは、上位10人を倒すとボーナスポイントがもらえるよ~!!さあ第1回イベントもいよいよ佳境!!果たして勝つのは誰だ~!!」


 アイリスちゃんが消えると、プレイヤーたちが一斉に動き出す。


「急げ!!ボーナスポイント取るぞ!!」

「サクラは東の平原にいるらしいぜ!!」

「グレンは北だ!!大人数で行けばワンチャンある!!」

「ユノってのは森の中の廃墟にいるらしいぞ!!」


 さあ、残り30分―。




「いっけぇ!!攻め落とせぇ!!」

「相手はたった1人だ!!倒せる!!」

「暗黒軍は舞い戻ったぞ!!」


 神殿の四方八方をプレイヤーが取り囲む。

 序盤にのの花が倒した黒仮面たちもいるようだ。


「突き進め!!暗黒軍として一矢報いろ!!」


 黒仮面たちが正面から神殿へ突っ込む。

 しかし、すぐに身動きが取れなくなった。

 トラッパーのの花が仕掛けた底なし沼にはまったのだ。


「【雷帝の怒り】!!」

「ちくしょー!!」


 雷に撃たれ、黒仮面たちは再びユノのポイントとなった。


「みんなでかかれば倒せるはずだ!!」


 どのみちボーナスポイントを取っても上位に入れないと判断した人たちが、捨て身の作戦に出る。

 しかしそれもユノの思うつぼ。


「【氷柱つららの雨】!!」

「うわ!!氷の塊が降ってくる!!」

「何とか防げ!!一太刀入れろぉぉぉぉ!!」


 もはや災害のような事態になっている中、何人かがのの花の近くまでたどり着く。

 しかし、あまり近づきすぎると……


「【一網打尽】!!」

「「「うわああああ!!」」」


 いくらのの花のスキルがえぐいとはいえ、本来ならここまでの火力は出ない。

 しかし今回は数十人が一度に攻めてくるため、ユニークセットの固有スキルである【剥がれ落ちていく初心者の皮】の『10秒以内の間隔で攻撃が当たる度に全ステータス+10%、上限なし。』という効果が最大限に発揮されるのだ。


「【驚異的な回避術】!!」


 これで5分間は物理攻撃が当たらない。

【非常識な生命体】の効果で特殊攻撃も当たらない。

 5分限定の無双状態に入ったのの花は、短剣を構えるとプレイヤーの塊に向かってダッシュした。


「こ、こっちに来たぁぁぁぁ!!」

「ビビるな!!返り討ちにしろ!!」


 なりふり構わずのの花に飛び掛かるプレイヤーたちが団子状態になる。

 数秒後、閃光が何度も走りお団子が一気にばらけた。


「【閃撃の双剣】!!」


 プレイヤーたちが次々と光になって消えていく。


「くっそぉ……何で初心者装備にやられるんだ……」


 本日数百回目の悲痛な声が響いた。




「は~いみんな~、ただいま3時間が経過!!これにてイベント終了だよ~!!では最終順位の発表!!」


 制限時間いっぱい、イベント終了だ。

 参加したプレイヤーは専用フィールド、観戦者たちは広間でアイリスちゃんの結果発表を聞いている。


「商品が贈呈されるTOP10を発表するよ~!!第10位、ラピラピさん!!第9位、ナノハさん!!第8位、キョーヘーさん!!第7位、ギルさん!!第6位、リリアさん!!第5位、サクラさん!!第4位、ミカゲさん!!」

「おお!!サクラさんの順位上がってる!!」


 のの花は自分のことのように、手を叩いて喜んだ。

 30分前と顔ぶれは一緒だが、順位にはやや変動があったようだ。


「TOP3の方々は、ポイントも併せて発表だよ!!第3位、ゲンカ―さん!!総獲得ポイントは1215ポイント!!」


 紹介と同時に、モニターへ斧を担いだ男性プレイヤーが映し出される。

 ポイントを聞いて、広場にどよめきが走った。


「確かゲンカ―って、一度も死んでないよな」

「つまり、3時間で1215人狩ったってことか……」

「ヤバすぎんだろ。それで3位かよ」

「3時間で1215人って、大体9秒に1人だぜ……」


「第2位、ユノさん!!総獲得ポイントは、3220ポイント!!」

「やった!!2位達成!!」


 のの花がモニターに映し出される。

 自分が映っていることに気付き、ペコリと頭を下げた。


「3220……」

「3位にダブルスコアって……何だそれ」

「大型新人どころじゃねぇよ……」

「でも、それでも2位なんだよなぁ」

「ってか、この子かわいくない?」

「確かにかわいい」


 そしていよいよ1位の発表だ。


「さあ第1回イベント、全SSOユーザーの頂点に輝いたのは~⁉第1位、グレンさん!!総獲得ポイントは、何と3722ポイント!!」


 モニターにイケメンの剣士が映る。

 グレンは優しく笑って、モニターの向こうへ手を振った。


「やっぱりグレンかぁ~」

「さすが!!強い!!」

「グレンとユノの対決とか見てみてぇ!!」


 プレイヤーたちが大いに盛り上がる。

 それが落ち着いたのを見計らって、アイリスちゃんがイベントを締めくくった。


「これで第1回イベントは終了だよ!!入賞者には後日、商品を配布するので待っててね!!ではみんな、また第2回イベントで会おう!!以上、アイリスちゃんでした~!!」


 拍手と歓声が上がり、第1回イベントは幕を下ろした。

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