その帆を引き裂く

この世のどんな不幸も僕に相応のものに思える。全く知らなかったんだ。僕がどんなに役に立たない人間か。

僕は全身全霊をもって誰かの望むものを見せてやろうと努力した。しかし人は僕に金を払ってくれるのに僕には何ひとつありやしなかった。そのくせ何か渡さなければ自分の身が危ないと思って誰かがくれたものの包み紙を押し付けているに過ぎない。


僕がどれほど本気で心のなかで誰かのためを思っても私はいつの間にか独りよがりになっている。自分の無能さと恩知らずほど醜いものは見たことなかった。


本当にごめんなさい、

その言葉すら醜い塊を潰したくなる。ニキビのようにいくら潰してもなくならない。それが随分、大袈裟で手に負えないものになってしまった。

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