触らない人

足りないとは足るを知る人しか知らない。

僕は知らなかった。人がこんなにも人を思ってくれるだなんて。そんな僕は散々世の中で思いやりの大切さが叫ばれる中、それが自分に捧げられるまで気づかない利己主義だ。


家が利己主義の父に支配されていた。それを理由に僕の怠慢は許されるものなのか。それを語るには少しばかし人の善意を無視しすぎてしまった。他に誰には思わないが僕の無知というのは罪だったのかもしれない。罪を重ねた私が苦しむのは当然だったのかもしれない。


他の人のことなど全く考えない。口では人当たりの良いお世辞を言うがそれは私が気まずさを恐れているため。だから人と距離を縮めるほどに私は人が疎ましくなる。人は僕の本質を見抜いていた。知らなかったのは僕だけ。今日、そうではないと言い切ることは出来ないがそれを否定したいと祈る。

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