顔のないモデル

世界は以前より温かみを増している。

最もなきっかけは本だ。本は私以外誰もこんなことを思い悩まないだろう孤独を更に詳しく悩んでくれるし私が言葉にできないことを説明してくれる。

しかしまた本もいいが人もいい。私が相手に寄り添って接していると相手も多くの場合私の考えに寄り添ってくれる。時には私が相手を思いやることが信じられないときでも私にご飯を作ってくれるし家事もしてくれるしとやかく言わない。それに本で読むであろう哲学的な反抗や悲劇的な小説、そうした世界をも共有できる人もいると知った。


しかし最も大きな問題は今でも恐ろしく感じることだろう。無論これまで感じたことはその克服に一役どこらか何役も買っている。しかし今、全く知らぬ人と合う約束というものがあったら気が動転せずにはいられないだろう。それほど全く知らない人というのが得体のしれない不安がある。社会的な生活を営む中で全く知らない人と会うというのはその程度によって様々だが避けざる負えないことなのだ。程度の低いことでは電車やバスに乗ること。そこから少し程度が上がると何かしらのものを買う際のレジで会計をすること。私もそこまでは割と卒なくこなすことは出来るのだが先日の交流会のように初めて合う人と面と向って話す時間を取るというのは自分が受け入れられるだろうかと恐怖を感じずにはいられない。これに加え来月は知り合いにボードゲーム会に誘われてしまった。知り合い以外は全く知らぬメンバーである。これは私を心底不安にさせるに違いないことではあるだろう。しかし同時にそれは見知らぬ誰かに寄り添える、身近な人という条件のない無条件の愛に近いことかも知れない。そう思ってそこに行くことにした。


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