　ヘルマン・ヘッセの小説は本当に素晴らしい。今「車輪の下」を読んでいるのだが、ここまでどんな時でさえも救ってくれる作品にはあったことがない。私は確かに本を読み始めたのは半年ほど前で愛読家としてはあまちゃんでただ単に知らないだけかもしれない。けれどここまで私に起きたことを再現する物語はない。

　車輪の下のネタバレになるので読みたい人はこの先は読まないほうがいい。自分も車輪の下の良さをわかってくれる人を信じて検索したらあっさりネタバレしてしまった。内容に入るとハイルナアという神学校に噛みつく生徒が主人公ハンスの唯一無二の親友だ。ハイルナアは詩的な世界を持っておりはじめは勉強のことしか頭にないもの悲しいハンスに点取り主義だと言って批判していた。ハンス自体もそれは実感しており、受験によって温かい友達というものから縁遠くなって空虚を知っていた。そんな神学校に入学したてのハンスは周りが和気あいあいとするのに馴染めずにいた。ハイルナアもどうにか自分の詩的な世界を共有しようとしていたがそれは叶わずにいた。ハンスは受験