#168 稀に見る大器量
ハライソは立ち上がる。ホウリシットも主人を仰ぎながら即座に立ち上がった。
領主は周囲を見渡し、言う。
「そこでどうだろう、エイカにはこれまでの給金をいくらか差し引いて受け取ってもらいたい。そして差し引いた分の給金は、他の者達の分に上乗せするとしよう。これでこの一件は手打ちだ」
メイカはついに涙を流しながら言う。
「ハライソ様! ありがとうございます、勿体のねえことです! 俺は、ここで働かせてもらうだけで十分なんです!」
「お館様」執事が朗々と言う。領主に対してという以上に、農夫達に向けて。
「まことに温かいお心遣いと存じます。農場の秩序を取り戻すばかりか、火の器への温情をも示されるとは、治下広しといえども、数少ない大器量の御方にしか成し得ぬことと感服いたしました」
執事がそう言って頭を下げると、皆も頭を下げた。
あなたはどうするか。
あなたは皆と同様、ハライソの裁定を受け入れるか。それはこの場を穏便に終わらせることを意味するが、あなたにはもう一つ、メイカケイの元の居場所を取り戻すという目的がある。それを果たそうとするなら、#170へ進め。
それとも、あなたはハライソの裁定に異議を申し立てるか。だが、何のために? 誰も何も得るところがないであろうこの選択肢を選ぶなら、#175へ進め。それはあなたらしくない口上で始まるが、あなたに相応しい結末で終わることだろう。
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