第15話 魂の夢

 その夜、夢を見た。


 凛とした妙齢の彼女と、女性の俺が、白い空間に停留していた。

 それぞれの魂が本来持っていた姿かたちだと直感で気付いた。


 女性の姿を見られてしまって恥ずかしいとは思わなかった。

 彼女なら俺を魂ごと受け止めてくれると知っていた。


 そこに言語の垣根はなかった。魂を通じて話しているとしか説明のしようがない。


 彼女は、“私”と目を合わせ、顔をほころばせた。


『貴方とこうして並んで話してみたかった』


 指先や睫毛まつげの先にまで生命力のみなぎる彼女は、見張っていないと羽を生やし飛び立ってしまいそうだ。


 彼女は、俺の魂に、追悼ついとうの言葉をくれた。





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