終幕 簒奪王と星の姫
0 幸福と寓話
※
とおくとおく とってもとおい ばしょ
あおい目のおうじさまと きんいろの目のおひめさまは 小さいころから いっしょにそだちました
きたの国の あおい目のおうじさまは じぶんがおうじだとしらず きんいろの目のおひめさまがすむ みなみの国にすんでいたのです
あるとき きたの国で せんそうがおこりました
きたの国の おうさまがしんでしまったので あおい目のおうじさまに むかえがきます
ですがおうじさまは かえりたくありません おうじさまと おひめさまは ふたりで おしろをぬけだしました
おしろのなかしか しらない おうじさまと おひめさま
そとのせかいは とてもきれいでした
川のなかから さかなが いいます
「ぼくは まいにち じゆうに およいでる きみもいっしょに およごうよ」
なんてきれいな お水でしょう おひめさまは 川にはいっていきます
ですが おひめさまには おひれがありません
さかなのように じゆうに およげず ふたりは なきながら りくに もどりました
森のなかから おさるが いいました
「わたしは まいにち 木のうえで ゆられている あなたもいっしょに おひるねしよう」
なんてきれいな けしきでしょう おうじさまは よろこんで 木にのぼります
ですが おうじさまの手は それほど つよくありません
おさるのように じゆうに のぼれず ふたりは なきながら ちじょうに もどりました
がけのうえでは ことりが さえずります
「おれは まいにち ここで かぜにのる きみもいっしょに 空をとぼう」
なんてきもちのよい かぜでしょう ふたりは 手をつないで がけからとびおりました
ですが ふたりには はねがありません
ことりのように じゆうに とべず ふたりは なきながら したへしたへ
そこは 糸のかみさまがすむ 国でした
かみさまは いいました
「ここからは ふたり いっしょに すすめません べつのばしょに むかうのです」
おひめさまは かなしさのあまり なきだします
おうじさまは それをみて もっとかなしくなります
手をつないで 大きなこえで なくふたり
かみさまは いよいよ かわいそうになり 糸をつかって 布をおりました
「これを もっていきなさい そうすれば べつの道を すすんでも どこかで また であえるはず」
ふたりは 布をもち べつの道へ すすみます
それから ふたりは かみさまのことも おしろにすんでいたことも わすれてしまいます
あるひ あおい目のおとこのこが さんぽをしていると とてもきれいな おんなのこに であいました
きんいろの目をした おんなのこ
そのこがだれか おうじさまは しりません
ですが おうじさまは もう そのこのことが すきになりました
おうじさまは いいました
「ぼくと ともだちに なってくれる」
おんなのこは うれしそうに わらいました
ふたりはまた いっしょにすごします
こんどはずっと いっしょにいます
にげだす ひつようもなく ずっと ずっと しあわせにくらしました
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます