幕間 彼女は案ず
運命の子を
愛しいたった一人の娘。あなたを腕に抱けないことが、これほど苦しいことだとは思いませんでした。
最初から分かっていたのです。ですがこれは女神が導いたこと。紡がれた運命の糸が織り成す宿命です。この腹に胎動を感じ、あなたと共に過ごした数か月は、夢のようなひと時でした。だから母を哀れまないでください。そして自分を責めないで。
私の子であるために、あなたが非難を受けるのではないか、案じています。誰が何を言おうと、気にする必要はありません。あなたはこの地を蝕むものを廃するために、全知全能の大神とその娘たる
私のことを悪く言う人もいるでしょう。母は完璧な人間ではありません。それを受け入れ、中傷を受け流しなさい。私に悔いはありません。この身を神に捧げずに終わることすらも、女神の遺志なのです。そして、あなたがその身を女神に捧げないことも、神の望みです。胸を張って過ごしなさい。
あなたの使命は自ずと知れるでしょう。心のままに行動なさい。そうすれば、正しい道につながります。あなたが最も愛し、あなたを最も慈しんでくれる人を、救うのです。全ての責務を
これを読むとき、あなたはどんな大人になっているでしょうか。願わくば、優しい子であってほしい。苦しい時にも誰かに手を差し伸べることができ、共に苦難を乗り越えられるような、そんな大切な人をたくさん作って欲しい。
あなたはきっと、幸せになる。幸福に満たされた老年に、愛しい人たちに見送られ、静かに息を引き取るでしょう。会える日まで、女神の御許で待っています。その日がずっと先になりますように。
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