第11話 石階段のときめき


私たちはさっき登ってきた石階段の前にきた。


登ってきたということは…今度は降りなきゃいけない…。

1段ずつ…はぁ…大変…。


内心そう思っていたとき…


「こいよ…。」と黒崎くんがふいに手を差し出してきた。


「えっ?」


「そのビーチサンダルじゃ危ないだろ…下駄でもだ!」


「大、大丈夫だよ…子供じゃないんだから…。」


といって先に階段を降りようとした瞬間…

私の体はふわっと軽く抱きかかえられた!!


「わっ!!」


世に言うお姫様抱っこ!!黒崎くんに!

私は反射的に両腕を彼の首にまわし抱きつく姿になってしまい…おどろきと恥ずかしさですぐに離した…。


「なんで離すの?危ないからちゃんと持ってろ。」


私は言われるがままにもう1度…両腕をゆっくりと彼の首もとへまわした…。

黒崎くんの顔が近すぎる…恥ずかしい…顔をあげられない…。


「私…重いのに…。」


必死にがんばって出た言葉がこれだなんて…。


「さっきも言ったけど、俺の中では白瀬は小さいから問題ない…それにこのほうが安全だ。」


私はゆっくり顔をあげ…視線の感じるほうに目をやる。

やっぱりポーカーフェイスはそのままだけど…私をみる瞳はどこか…優しい感じがした…。

でも…こんなときめく言葉を動揺もせず…平然といえる黒崎くんに…私はちょっと嫉妬した…。


「うん…ありがと…。」



黒崎くんは私を抱きかかえながらどんどん神社の石階段を下っていく。

男の子って…こんなにたくましいんだ…。でも…


「ごめんね…。」


「何が?」


「なんか…最後にこんな負担かけちゃって…。」


「負担?俺は白瀬を抱けて嬉しいけどな!白瀬とつきあうことになったし…それに花火も一緒に見れたしな…。」


といって優しく微笑んだ。

そんな黒崎くんの笑顔をみて…私も自然と笑みがこぼれた…。

そして…私もだよ…と心の中でささやいた…。


ただ…私を抱けてなんて…表現が恥ずかしすぎるよ…もう…。


そんなやりとりをしていて、残り10段ていうところまで差し掛かったところで声がした!


「ゆうちゃん!黒崎くん!」


ふと声がした方を見るとそこには私を心配そうに見上げているみゆちゃんの姿が…。


そのみゆちゃんの周りには京也くんやなっちゃん、赤井くんもいた。

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