第27話
それでも、あたしは日記を開いてその中身を確認するしかないのだ。
今回の事件まで書かれているのかどうかを……。
適当に開いたページに視線を走らせ、そして硬直してしまった。
《愛菜は恋人の健太郎を絞め殺す》
その文章が目の中に飛び込んで来たのだ。
「嘘だ……」
自分の声がやけに枯れていた。
これも、すべて咲紀の言霊のせいだったっていうの?
「嘘だよこんなの。だって……あり得ない」
ブンブンと左右に首を振ってみても、現実は変わらなかった。
日記には確かに《健太郎を絞め殺す》と書いてあるのだ。
その前の文章を読んでみると、ちゃんと観覧車に乗る時の描写がされている。
「全部……咲紀が仕組んだことなの!?」
もしそうだとすれば、この先を読み進めればあたしがどうなるのかわかるのかもしれない。
そう思い、ゴクリと唾を飲み込んだ。
健太郎を殺した後、あたしは一体どうなってしまうのか……。
恐る恐る読み進めたその先にあった文章は……。
《愛菜は自殺してしまう》
「自殺……」
咄嗟に、隣に流れる川を見つめた。
最近は天気がいい日が多いからか、川のながれはおだやかそうで、胸をなで下ろした。
「あたしは自殺なんてしない!!」
咲紀と同じような運命はたどらない。
たとえ人殺しでも、自分から死ぬなんてありえない!!
あたしはそう考え、咲紀の日記を川へ投げ捨てたのだった……。
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