第40話 期末試験

 7月第2水曜日。

 水郷高校の期末試験が始まった。


 1限目は国語。

 美沙希の得意科目だ。現代文の問題を彼女はすらすらと解いていく。古文と漢文はちょっと苦手だが、真央に教えてもらったので、それなりに解ける。上位を狙えそうな手応えがあった。

 カズミは国語が苦手。しかし勉強会をやったかいあって、まずまず解答できる。

 あたしもけっこうやるじゃん、と思った。


 2限目は数学。

 美沙希は数学が嫌いだ。しかし、むぐう~と集中して公式にあてはめ、答えを導き出していく。

 カズミは数学が好きで、ふんふんふん~と解いていく。楽勝!


 2科目が終わって、帰宅。

 真央、美沙希、カズミは自宅で勉強し、明日の試験に備えた。


 木曜日の1限目は英語。

 美沙希はこれも得意。イングリッシュ、どんとこい! 将来、アメリカでブラックバスを釣るぞ! 

 カズミにとって英語は苦行以外の何物でもない。しかしもっとも力を入れて勉強した。平均点以上をめざす。

 あれ~っ、けっこう読めるじゃん、書けるじゃん、と手応えあり。


 2限目は物理。

 美沙希にとっては謎の学問。でも真央に教えてもらって、やれるだけのことはやった。くう……。解答する……!

 カズミは物理が好き。宇宙の真理を解明しているみたいで快感。試験だって楽しい。


 英語と物理の試験を終えて、帰宅。

 生徒たちは最終日の試験に向けてラストスパートをかける。


 そして金曜日。

 1限目は社会。暗記科目だ。

 美沙希は記憶力がいい。カリカリカリ、と答案用紙を埋めていく。

 カズミは意味もわからず記憶するのは苦手だ。しかし真央に現代社会の意味を教えてもらった。

 頭に記憶が残っているうちに、懸命に答えを書いた。


 2限目は化学。

 これで最後! 美沙希は苦手科目に挑む。めざすは平均点以上!

 カズミにとっては得意科目。らんらんらん、と解いていく。


 期末試験はこんな感じで終わった。終了時の解放感は格別。

 夏休みが待っている!


 美沙希とカズミは真央にお礼を言った。

「ありがとう、委員長。おかげでまあまあいい点数が取れそう」

「ありがとう、真央様。もう真央様には足を向けて寝られないよ」

「そう。わたしの家はウシボリにあるわ。そっちには足を向けないでね」

「委員長の家、ウシボリなの? 私たち、よくそこで釣りしているんだけど」

「知ってるわ。窓からあなたたちの姿を見たことがある」

「そうだったのか~」


 金曜日の試験の後、美沙希とカズミはウシボリで釣りをした。

 川岸にはベンチがある。

 真央はそこに座ってふたりを見て、楽しそうだな、と思った。

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