第4話  面白いもの・・?

 面白いもの?と言われて工場の裏手、洗車などをする所に進んで行く、其処には〈軽トラ〉が、何処の農家の家にも有る一般的な車、その横にはマフラーが転がっていた。


「ここに穴が開いて車検通らないから、マフラー交換するんだ。」

「工場に運ぶから、ほらそっち持て」といわれる。


 <ゴミのマフラーなんぞ何するねん>と思いつつ、しぶしぶ従い工場迄。

「この辺で良いだろ」と工場の屋根が切れたあたりに置かれたマフラー、親父さんは奥に入って移動式のアセチレンボンベを引いてきた。


「少し離れてろ」と言い防護メガネを掛けバーナーに着火、中央の太鼓部分を切り始めた。

 焼けて変色し始めると両端の部分からさっきの<GR50>程では無いが白煙が上がり始める。


 20✕15センチ程の口が開き、その穴を指さした。

「熱いから火傷に気をつけて、中を見てみろ」

恐る恐るのぞき込むと、中には黒いヘドロ状の物が溜まっており、おもむろに金属片ですくって見せてくれた。


「ほら、お前の単車のマフラーの中も此れが詰まってるんだ。」

 当時の田舎の軽トラは2stの360と550のエンジンがまだまだ現役。


「これじゃあ、馬力も出ないわな。」

そう言って此方を振り向いた。

「でも、マフラー替える様な金無いですよ。」

と伝えていた。

「内緒でよい方法教えてやる」と一言。

 追加で30分程又レクチャー受けました、今日何で来たのか既に忘れてます。

《この方法は決してマネしてはいけません、当時の田舎だから出来た方法です!!》


 本格的な対処は後日行うとして、その日は芯からロックウール剥がし芯をセット、少々いい音してました、確かにただ其れだけでウソのように軽く加速していて、同じ車体とは思えなかった。

「奴が言っていたのは、こう言う事だったんだ」と此処から速さに魅入られるとも知らず・・まだまだのんきな頃だったんです。


 その日は授業も午前で終わり、教師の会議とやらで午後は無し、当時の言葉では<半ドン>ですね、因縁の2人と同時に帰れるチャンスがやって来ました。

「なんか音大きくないか?」と言われるが、

「変わんないよと」嘯く。

「前の処で待ってるから」と言われるが<リードには勝つ>と気合入れ校門を出る。


 いつもの直線までは三味線弾いて、奴らが全開、一呼吸置いて<GR50>も全開、速かったあの<リード>に追いつく、約70ちょいが限界の<リード>の其の前に出る。


 「いっけー」とメットの中で大声で叫び段々大きくなる<RZ50>を追走。

 しかし気づいたらしく、さらに加速する<RZ50>やはり速いホントに速い・・・・。

 もちろん出しちゃ駄目ですが、あれは粗ノーマルで無風なら100出ますから・・。


 でも景色が変わりました、どんどん小さくなり、消えてしまっていた2人の其の背中が・・、

 今迄、追い付けなかった片方が此方の背を見て追って居る。

 じりじり離されては居るのだが、特徴的な<RZ>のテールが視界から消えない・・・。

「GRは速かったんだ」自分の無知さに気付き嫌っていて<ゴメン>と謝っていました。



 なかなか進まず申し訳ありません。この調子では何時都会に出ていくのか?

 なぜ出ていく事に為るのか、まだまだかかりそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る