第3話 これが犯人だったんだ!!
「その単車走らねんじゃないか?」その言葉は友人の<遅いはずが無い!>その言葉のやり取りを観ていたんじゃないか、と思ってしまう位突き刺さったのです。
<バイク>や<オートバイ>と言わない、あえて<単車>というあたりが今思い返しても若かりし頃が偲ばれる親父さん、友人の親父で田舎のモータース社長で有り整備士。
ゆわゆる一人親方ですね。<町内唯一の自動車修理屋!>
「いいからエンジン掛けてみいや‼」ぼーっとしている此方に少し切れ気味に声が掛かる、
「ハッ、ハイ」と慌ててエンジン掛けて待っていると、
「よーく聴けや!!」スロットル回した、辺り一面白煙塗れ手を放しアイドリングに戻ると、親父さんはタンク撫でながら呟く、
「もっと、もっと走りたいだろ…」
振り向きざまに怒鳴られる。
「ぼーっとしてないで、そこの軍手着けろ」
「まーた始まった」
と友人は先に部屋に戻ってしまい、
「終わってから部屋に来な」
と言い残し工場を後にする。
「そこの、プラス持って来い」とまた怒鳴られ、
「ここよく見てみろ!」
とGR50の特徴であるメガホンマフラーのエンドを指さす。
「外してみ?」言われるままビスを外す。
今度は「カラス持ってこい!」
<ウォーターポンププライヤー>を持って戻って来る。
「芯を左右に回しながら抜きな。」
なかなか抜けないが〈ブチュブチュ〉と粘った音がしながら、〈ぽん〉と間抜けな音と共に抜け落ちた。
「是だけでも変わるだろ?」背後から声が聞こえる
「さあ!掛けてみろ」と愉快そうな声がした。
これまた先程とは変わって愉快そうな顔をしてる
「ほらほら、急げ」と急かす親父さん、キーを回しキック、3回目で掛かったエンジン。
掛けて見ても、さっきより少し音が大きいかな位で別段変化なくスロットル回そうとする。
「暖まるまで少し待て」と制止する。
急げと言ったり、待てと言ったり何なんだと思っていた、軍手越しに空冷フィンに手をかざし、
「頃合いだ、さあ回せ」それは大変なことになった、まるで煙幕周りが見えない程の白煙。
とてもその場に立っていられない。
ただ明らかに違う、シロートでもハッキリ判る!。
〈エンジン音が軽い〉〈もたずかずに回転が上がる〉〈スロットルにエンジンが追従してくる〉、白煙が立ち込める中、何度も何度もスロットルを回していた。
ただ消音効果の無くなったエンジン音は山に木霊していた。
「そろそろ止めろ、火事に間違われるぞ」との声で我に返りキーを切り、静かになった作業場。
「シロートにも解るように説明してやる」と・・・。
「お前、鼻と口塞がれて全力疾走出来るのか?、さっき迄の此奴はそんなんだったんだ。」
其の後も簡単に説明して、今の状態を改善する方法など、小一時間お勉強の時間が続き、さっき抜いた芯に消音と2stの宿命、オイル飛散防止のロックウールが巻いて在り、オイルが詰り排気が抜けづらい状態だったこと、田舎では専用オイルが高いので、自宅の農機具用の混合用オイルを代用して入れてしまい、こう為る事が良くあると説明して立ち上がる。
「今良い物見せてやると」ニタッといたずら小僧のような笑顔で振り向いた。
これを書きなが、読んでくれる方が居るのかな?と思いつつ、でも最後まで書いてゆきたいと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます