第7話 サビア・ロッサの抗争1
私は今、異世界にいる。
神戸市内に住んでいた女子高生だったが、ある日突然不思議な少女と出会い、このラディチ大陸の南端の荒野に飛ばされた。
荒野ではドラゴンや盗賊に遭遇したりと色々あったけど、私は現在このサビア・ロッサの町に辿り着いた。
ここで私は、少年ギャンググループのジェイ達と出会った。
現在サビアロッサのこの町はラディチ大陸南部最大のギャング組織であるサビア・ベレノーザが長年に亘って牛耳っていたようだが最近ではジェイをリーダーとする少年ギャング、いわゆる愚連隊の様な集団が台頭してきているらしい。
私はジェイやアレックス達と出会い昨日はこの世界で二日酔いになるまで飲まされたのだった。
「レオナさん具合はどうですか?」
「大丈夫よアレックス。
結構良くなったわ。ありがとう」
「それは良かったよ。
レオナさんはまだこの町にいるんだよな?」
「そうね。帰り方もわからないし。
暫くここにいようと思うわ。
せっかく知り合いもできたしね」
「じゃあ調度良かった!
その……今日は俺がこの町を案内するよ!
もし、レオナさんが嫌じゃなかったら!」
「いいの?
じゃあお願いするわ」
「やった!じゃあ準備して一時間後に」
アレックスってなんて良い子なんだろう。
私は妹しかいなかったけど弟も悪くないかも知れない。
こうして私は午後からアレックスに町を案内してもらった。
この町は個々のクオリティを無視すれば必要なものは結構何でもある事が分かった。
バーやレストランはもちろん、公衆浴場や劇場なんかもあったりする。
治安はこの上なく悪そうだけど……
二人でオープンカフェの様な所で紅茶を飲みながら町の歴史や施設なんかを聞いた後、アレックスの御勧めで小さな劇場に行くことになった。
小さな劇場だったが、この世界の大衆演劇といったところだろうか。
演目はリッキーリードがグランデ帝国や魔族大帝らと織りなす歴史物だった。
リッキーリードか……やはり彼はこの世界の人物なのね。
しかし、えらく長身イケメンな役者の人が演じていた姿は私の想像と随分違う映画のヒーローの様な人物だった。
あの本のコメントを書いていた、リッキーリードが同一人物とは全く思えない……
やっぱり本のサインって別人よね……いくら何でもキャラ違いすぎ。
私とアレックスは劇場を出て演者の話をしながら夕食を食べに行こうと曲がり角を曲がった時だった。
私は油断していたのだと思う、元の世界との共通点を探していたりして、ここでの生活を楽しんでいた。
忘れていたのだ……この世界がいかに危険かという事を……
≪ドゴッ!!!≫
気が付けばアレックスが後頭部をこん棒の様な物で殴られていた。
彼は前のめりに地面に突っ伏した。
「アレックス!」
振り返るとそこには昨日私を襲って来た二人……と他に7~8人はいる!
「その女は魔術師だ!
距離を詰めろ!」
その指示を聞いて掛け声とともに剣やナイフで武装した三人が向かって来た。
後ろに下がった瞬間、私は転んでしまったが、すぐさまカバンから杖を抜いて呪文を唱えた。
それはドラゴンと戦った時、一番唱えた呪文が反射的に出た。
『ファイアーボール!!』
連続で放った火球で目の前にいた二人を吹き飛ばせた。
その後ろにいた一人が一瞬躊躇した為、私は更に威力のある魔術を詠唱する時間を確保出来た。
『インフェルノダークバレット!』
漆黒の弾丸が連発され、4人に命中した。
直撃した人は腹部が削り取られ後ろの景色が透けて見える程の重症を負った。
殺した??嘘……私が…人を殺した??
私は生まれて初めての人を殺めてしまったと思い、その場で固まってしまった。
それがいけなかった。
「早く行くぞ!!このガキだけでも連れていけ!!」
「こんな凄い魔術師だなんて聞いてねえぞ!」
「いいから走れ!あいつはやべえ!」
残った二人はアレックスを抱えて走り去ろうとした。
「待って!!!
アレックス!!」
私は膝がガクガク笑って、完全に腰が抜けていた。
「救えなかった……私には助ける力があったかも知れないのに!!」
何とか立ち上がって後を追った頃には当然、彼らを見失っていた。
私はアレックスを……目の前で……
「とにかく走らないと……」
ジェイ達のいるバーまでは走って10分はかかったが、必死で走った。
私の息を切らしながらサンダルは脱げて足は傷だらけになっていたと思う。
「ジェイ!!」
「レオナ!?どうした!!」
「アレックスが!!さらわれた!!」
To Be Continued….
:登場人物:
レオナ:
身長 175センチ
17歳
サビア・ベレノーザに襲撃を受けた。
ジェイ:
身長 184センチ
17歳
少年ギャングのリーダー。
アレックス:
身長 172センチ
16歳
サビア・ベレノーザに拉致された。
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