第3話 食いしん坊
♪キーコンカーコン
二限目開始のチャイムが鳴る。
しかし誰も教室にいない。
『賢者よ。みんなは一体どこにいったんだ?』
『答:体育をしにグラウンドに出ています。』
まじか。二限目がグランドなんて全然知らなかったぞ。誰か教えてくれればいいのに。
まぁどっちにしろ体操服持ってなかったから、意味ないんだけど。
先生には悪いが、2限目は保健室でサボることにしよう。
俺は賢者に案内してもらいながら保健室へ向かった。
「失礼しまーす。気分が悪いので休ませてくださぁーい。」
……シーン。
返事が返ってこない。
どうやら先生はいないらしい。
仕方ない、勝手にベットで寝ておこう。
俺はそう思いベットのカーテンを開けた。
「はにゃ!?」
カーテンを開けるとそこにはベットに腰掛けて弁当を食べる小柄な女の子がいた。
「うわわごめん!人がるって知らなくって。ごめん!」
俺はカーテンを閉め直して一歩下がる。
あっぶねぇ、もしあの女の子が着替えでもしてたら、ハーレムどころか高校生活終わるとこだった。
あぶないあぶない。こらからはしっかり確認する事にしよう。
というか、今あの子なにやってたんだ?弁当食べてたような…
そう思っていると、
「あの……私がここで早弁してること誰にも言わないでもらえませんか?」
さっきの女子がカーテンから小さな顔を覗かせ喋りかけてきた。
やっぱりか。見間違いじゃなかった。
「分かったよ。誰にも言わない。でもなんでこんな時間に食べてるの?」
「えーと、その…実は……私……すごい食いしん坊なんです。だから弁当の時間まで我慢してると倒れちゃうんです。だからこうして毎日保健室を借りて早弁してるんです。絶対に誰にも言わないでくだいよ?」
そう言って赤面しながら恥ずかしそうに理由を話してくれた。
なるほど、小柄なのに食いしん坊キャラか。
うん、悪くない。
『賢者よ、この女子の名前は?』
『答:
まじか、俺顔覚えてなさすぎだろ。
こんな可愛い子一度覚えたらそうは忘れないぞ。
『賢者よ、ずばり、この子と仲良くなる方法は?』
『答:彼女の悩みに寄り添ってあげるといいでしょう。』
なるほど。寄り添うか。
なかなか難しいな。
『具体的には何をすればいい?』
『答:自分も食いしん坊だという事にすると良いでしょう。』
なるほど。同調効果を狙うのか。
たしかに昨日ネットに書いてあったな。
早速実践してみよう。
「うん、もちろん誰にも言わないよ。なんていったて俺も食いしん坊だからね。実はここに来たのもお腹空きすぎて気持ち悪くなったからなんだよ。もしよかったら何か分けてくれない?」
こんな感じでいいだろうか?嘘くさかったか?
「え!?本当ですか!じゃこれ食べて下さい!帰り道用の弁当ですけどあげます!」
そう言ってカーテンを勢いよく開け飛び出してきた。
キュン。
えめっちゃ可愛いんですけど?これは反則だろ。
「ほんと?ありがとう!……ん、これおいしね。」
「本当ですか!?それ実は手作りなんです。」
「まじかすごいな!めっちゃ美味しいよ。」
「ありがとうございます!どんどん食べて下さい!」
ハァァァァァァァー癒されるぅぅ。これだよこれ。
俺が長年求めてたのは。
あの地獄の10年間で汚れてしまった心が洗われるようだ。
ありがとう賢者。君が居なかったらこんな状況にはなってなかったよ。ありがとう…。
「ふーー。食った食ったー。」
「すごい!完食ですね!うれしいです!」
「いやー美味しかったら気づいたら無くなってたよ」
「ふふ、それはよかったです!私、
「俺もだよ!早弁仲間ができて嬉しいよ。そうだこれからはタメ口でしゃべらない?早弁仲間だしさ。」
これは昨日ネットでみた情報だ。タメ口になる事でより仲良くなったと感じお互いの距離は縮む!らしい。
「分かった!よろしく晴夢!」
「おう!よろしく花音!」
キーコーンカーコンキーコーンカーコン
ここでタイミングよくチャイムが鳴る。
「3限目の準備しないとだからもう行くね!バイバイ!」
「おう、バイバイ。」
そう言って彼女は走り去っていった。
おいおいおい、これかなりいい感じなんじゃないか?かなり手応えあったぞ。
『賢者よ、今の彼女の俺に対する好感度は?』
『答:80です。あと5上昇すれば付き合うことが可能となります。』
よし!よし!よし!素晴らしい。
かなり順調じゃないか。
初日にしてもう一人目の彼女が出来そうだ。
【賢者】さえあればハーレムなんて楽勝かもだぜ。
とりあえず今日はこのくらいにして明日また彼女にアタックしよう。
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