SHOWTIME

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〈某日〉


今朝方、非常にviolenceな夢を見たので、ここに記しておこうと思う。


小生はとても長い鈍行列車に乗っていた。

周りには、旅行客が三々五々に座っているが、みな知らぬ人々だ。

列車はとても長いにも関わらずワンマン運転のようで、ある時アナウンスが流れた。

「列車がとても長いので、皆様のお席までご挨拶に伺うことが出来ませんが、そちらの客席にございます物は、全てお客様の物でございます」


見ると、窓に点々とポチ袋が貼られている。

他の客達は、それを手に取って、珍しそうにかざして見ている。ポチ袋の表にはそれぞれ、墨で文字が書かれている。(「小手指」?「砲丸投」?上手く思い出せない。だが確かに漢字の三文字だ。)

ポチ袋の中には何も入っていない。かわりに、細かい文字で、何かが書き綴られている。その文字列を読み解く前に、列車は見知らぬ駅に到着した。


そこが屋内なのか、屋外なのか、分からなかった。

辺りは酷い人混みで、何かのshowの真っ最中らしかった。しかしそれはあまりに前衛的なshowで、一体何を見るべきなのか、小生にはよく分からない。

カラフルなショートボブの踊り子たちが出て来て、ドスの効いた自己紹介をしている。しかし、主役は彼女等ではない。


いつの間にか、視点が砕ける。


私でない誰かの痛みが、私でない私の鼓膜の奥で弾ける。衝撃波の中の衝撃波。


そうだ。

主役は私「達」なのだ。


踊り子の構えた銃から、舞台監督の手榴弾から、脚本家のナイフから、逃げ惑う「私達」が、このshowの主役なのだ。


私達は群れながら、果てし無いステージをどこまでも逃げて行った。

血は一滴も流れなかった。死ぬ者は誰もいなかった。

ただ、誰かが撃たれたというすさまじい衝撃だけが、私達を襲い続ける。


最後に、小生の視点は己に戻った。

どこかの非常口だろう。アルミの扉にもたれ、マシンガンに蜂の巣にされるのを耐えながら、小生は、「グヘェエエ。夢とはいえ、これはキツいな…」と考えた。


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目が覚めると、朝5時だった。

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