第57話 悲劇の跡



二人で父の手当をし、殿下は負傷者の救済、脱出手段の発見へと向かった。

とりあえず止血を試みた。


「父さん、、、。」


父の顔色が悪い。

毒はどれだけ体に回っているのだろう、どんな毒が使われたのだろう。


「お父様、もう少しの辛抱ですわ!

、、、来た!!!」


アンがそう言うと、鳥が羽ばたくような音が聞こえた。

大きな、大きな音だった。


「ありがとうございます!!!

次々にお願いをして申し訳ないのですが、父を屋敷まで運んで頂けますか?」


竜は先程の助祭の扱いとは違い、丁寧に手の上に父とアンを乗せてくれた。


「屋敷にお父様を送り届けたら、すぐに戻って参ります。

負傷者の方々を一箇所に集めておいてくださいませ!!!」


アンは叫びながら飛び去って行った。




殿下と合流し、言われた通りに負傷者を一箇所へ集めていた。

もう20人は集めたが、まだ居そうだ。

足が痛んできたが、やめるわけにはいかない。


「陛下、、、王妃様、、、。」


爆発に巻き込まれたお二人は、ボロボロだった。


「エドワード様!!!

包帯や、水、薬を見つけました!!!」


本当はお二人のそばに居たいだろうに、殿下は負傷者の手当てをされている。

僕が悲しんでいる暇はない!!!


「負傷者はこちらですか!!??」


階段からバタバタと音がしたと思うと、国の医者や看護師が10人以上入ってきた。


「どうしてここが!!??」


見ない顔の医者も居る。


「聖女様と、竜に連れて来られました。

急いで手当を行います。」


アンが医者を集めて来てくれたようだ。

安心すると体から力が抜けた。

僕はそのまま眠ってしまったらしい。


「お兄様!!??」


アンの心配する声が耳に残った。




次に目覚めた時、悲しい事実を知った。


今回の事件で死者が出た。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る