第50話 王城での悲劇



王城に着くと静けさに驚いた。

騎士の訓練の声も今日は聞こえてこない。

火薬の臭いもする。


馬を降り、木に繋いだ。


「ここで待っているんだよ。」


馬が静かに目を閉じた。

返事をしているかのように見えた。

足はだいぶ痛みが引いていた。




王城の中に入ると、火薬の臭いが強くなる。

アンが心配だ。


「大丈夫ですか!!??」


廊下に騎士が倒れているのを見つけ、声を掛けた。

顔には煤が着いていて、鎧が壊れている。

腕や足からは血を流してる。

うつ伏せの騎士を仰向けにした。


「水、、、水を、、、。」


幸いそばは厨房だったので、コップに水を注いですぐに戻った。

いつもはシェフたちで賑わう厨房には誰一人居なかった。


「さあ、飲んでください。」


騎士の口元にコップを近づけ、水を飲む手伝いをした。

口の端から少し溢していたが、ゴクゴクと水を飲む。


「ぷはっ、、、。

フェイン伯爵の御子息、エドワード様ですよね?

ありがとうこざいます、、、。」


弱々しい声でお礼を言ってくれた。


「ゆっくりでいいから、何があったのか話してもらえますか?」


僕の問いに騎士が王城での出来事をゆっくり話してくれた。




殿下と大勢の騎士が聖女様救出のため、教会へと向かいました。


王城の警備は手薄になっていましたが、護衛も残っていたので特に気にしてはいませんでした。


そこへ陛下にお客様がいらっしゃいました。

ケビン助祭でした。

教会の今後について話し合いたいと。


陛下、王妃様、騎士たちが謁見の間へ集まり、ケビン助祭とのお話がはじまりした。


すると突然、助祭が内ポケットから瓶を取り出しました。


陛下や王妃様を守ろうと、前に出た護衛に向かってその瓶を投げました。

瓶は爆発を起こしました。

助祭は爆発物を投げ続け、陛下と王妃の安否もわかりません。


外部を警備していた我々にもそのことが伝えられ、王城内へ入りました。


助祭を捕らえようと追いかけたのですが、瓶を投げられました。



「手薄になっていた王城に助祭が攻め込んで来たのですね。」


「はい、、、。

エドワード様、どうか陛下と王妃をお助けください、、、。

殿下に王将のことをお伝えください、、、。」


騎士が僕に必死で縋り付く。


「任せてください。

必ず、助祭を捕らえます。」


そう伝えると、安心したのか騎士はそのまま意識を失ってしまった。

近くの部屋の中へ入れて寝かせておいた。


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