第48話 地下道の結末


「マリエル!!!!!」


動けないでいる司祭を蹴り、マリエルから引き剥がして距離を取った。


「しっかりして!!!!!

今止血をするから!!!!!」


自分の服の袖を破いてマリエルの背中に腕を回して当て、押さえる。


「私は、、、良いですから、、、今のうちにお逃げください、、、。」


マリエルが息絶え絶えに話す。


「もう話すな!!!!!

君を置いて行ったりしない、絶対に助ける!!!!!

足が折れてでも君を抱えて走るよ!!!」


マリエルを担ごうとする。

足が痛くて震える。

なかなか担ぐことが出来ない。


「エドワード様、、、。

好きな女性を置いて、、、逃げられないと、、、おっしゃっていましたね?

私も、、、好きな男性をお守りしたいのです、、、。」


僕が美しいと思ったあの笑顔だった。


「おめでとう!エドワード様!

両思いじゃないですか!!!

これで何の未練もなく、あの世へ行けますね!!!

二人まとめて送って差し上げますよ!!!」


司祭が短剣を僕に向かって振り下ろそうとするのが見える、もう避けることは出来ない。

僕は刺される覚悟をして、マリエルに覆い被さった。




「えっ、、、?」


司祭の動きが止まり、目を見開いている。

そしてそのまま地面へと倒れ込んだ。

立っていたのは父だった。

王城の騎士たちが教会の方向から走ってくるのも見える。

騎士たちは司祭を取り押さえた。


「父さん!!!

どうしてここに!!??」


「血だらけのテオが這って外に出て助けを呼んでくれた。

治療をしているが、容体が良くない。

エドワード、怪我はないか?」


テオが僕らを助けてくれた。


「僕はいい!!!

マリエルをすぐに医者に診せてください!!!」


「マリエル!!!

司祭にやられたんだな?

すぐに屋敷に運び、医者に診せよう!!!」


父がマリエルを抱え、地下道を走っていく。

その後を僕も足を引き摺りながら着いていく。






「殿下!!!!!

お兄様とマリエルが司祭に追われています!!!

お助けください!!!」


殿下とロン様の戦いが終わり、本来の目的を果たせる時が来た。


「エドワード様と、マリエルなら大丈夫。

フェイン伯爵と騎士たちが向かったよ。」


そう言うと優しく頭を撫でて下さった。

殿下のお言葉に安心し、涙が出る。


「ありがとうございます、、、殿下。

どうして地下道に私たちがいるとお気づきになったのですか?」


「フェイン家の護衛は優秀だね。

司祭に背中と腹部を刺されていたのに、這って教会の外へと出て助けを呼ぼうとしていたそうだ。

実は、、、君に言ってないことがあるんだけど嫌いにならないでくれる?」


殿下が切ないお顔をされている。


「私が殿下を嫌うことなんてありませんわ。」


安心して頂きたくて笑顔で返す。


「君のことが心配で、、、その、、、見張りをつけていたんだ、、、。

見張りがテオを見つけて王城とフェイン家に伝えてくれた、、、。

本当にごめん!!!!!

知らぬ間に見張られていたなんて良い気はしないよね、、、。」


こんなに慌てる殿下を私は初めて見た。

可愛らしいと思ってしまった。


「知らない間にも私は殿下に守られていたのですね、、、。

ありがとうございます!!!

嬉しいですわ。」


安心したのか殿下は笑顔になられた。


王城のほうが近かったため、王城から馬車で教会へ向かおうと二人で歩いて王城を目指した。



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