第8話 親子の謝罪



「先程は取り乱してしまって、申し訳ありません。」


紅茶を飲んだ後に殿下、またご乱心。

テーブルを叩き、叫び、僕らに質問を繰り返し、やっと落ち着いた。


「いえいえ、受け入れ難いことだとは我々も思いますので。」


父が今度は笑顔で殿下の謝罪を受け取った。

これからの話も落ち着いて出来そうだ。


「エミリー嬢が本日王城へ来るという予定はどうなったのですか?」


アンとエミリーが鉢合わせするのだけは避けたいので、僕のこの問いの返答次第ではアンは屋敷へ返そうと思っていた。


「実は父が体調不良なのです。

この場に出席できないことをお許しください。

そのことを口実に彼女は帰しました。

それにアンと彼女を会わせたくもないですし、僕も会いたくないので。」


困ったような笑顔で殿下が答える。

とりあえず二人が会うことは避けられたようで、ホッとした。


「陛下が体調不良、、、?

陛下も“あの場“にいらっしゃっいましたよね?」


父の言葉に僕と殿下はハッとする。

そうだ、あの場に居たのはこの3人とアンだけではないのだ。

陛下とエミリーも居たのだ。

彼女を帰さず、巻き戻りをしているか確かめたほうが良かったか?

いや、今は陛下だ!


「我々が陛下に会うことは叶いますか?

殿下がお会いし、巻き戻りのことを伝えて頂くだけでも構いません。」


父の冷静さには驚くばかりだ。


「父に会ってきます。

すぐに戻りますので、こちらでお待ち下さい。

何度もお待たせして申し訳ない。」


僕らに一礼すると殿下は部屋を飛び出す。

美味しい紅茶とお菓子でお腹がいっぱいになりそうだ。


1時間ほど経つと部屋がノックされ、陛下と殿下が部屋へと入ってきた。

父と僕は起立した。


「この度は本当に申し訳なかった。

私と息子の非礼をどうか許して頂きたい。」


入室するなり陛下が頭を下げた。

この国のトップが自ら。


「そんな!!陛下!!頭を上げてください!!」


先ほどまで冷静だった父もこれには慌てた。


「いや、謝罪させて頂きたい。

我々は取り返しのつかないことをフェイン伯爵、御子息、ご息女にしてしまった。

何度頭を下げても足りぬことだ、、、。

本当に申し訳ない!!!!」


陛下と隣に立つ殿下が二人で頭を下げる。


「お二人の気持ちは十分に伝わりました。

頭をお上げ下さい。

お願いですから。」


父はもう泣きそうだ。


「今までのこと、これからのことについて話し合いましょう!」


二人の謝罪を終わらせたくて僕も父に助け舟を出す。


「フェイン伯爵、ありがとう。

そうだな、我々には話せばならぬことがたくさんあるな。」


やっと二人の謝罪が終わった、、、。

陛下と殿下は着席してくださった、、、。

この部屋には今僕ら4人以外の入室は許されていないので、僕が全員分の紅茶を用意した。


「まずは、私と息子の話を聞いてもらえるか?

彼女との出会いと“あの出来事“までのことを。」


陛下と殿下がゆっくりと話し出す。




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