第7話 信じ難い事実パート2
「本当に申し訳ありませんでした!!!!」
部屋に入り、僕らに着席を促すと殿下は頭を下げ大きな声で謝罪した。
「僕がエミリーに騙され、アンを裏切り、お二人にも辛い思い、体験をさせてしまった。
全て僕の責任です。
本当に申し訳ありません!!!」
二度目の謝罪。
殿下が心から反省していることが伝わる。
「頭を上げてください、殿下。」
父の低い声が部屋に響く。
先程よりも穏やかな表情になっている気がした。
殿下が顔を上げると、話を続ける。
「私のことは良いです。
ただ私の息子、そして娘にした行いは決して許されることではありません。
本来ならばこの場ですぐにこちらから婚約を破棄させて頂きたいくらいだ。
しかし殿下の心からの謝罪、娘が殿下に好意を寄せていること、娘はあの未来を知らないことを考えて保留に致します。」
あくまでも保留か、、、。
今後の殿下の行いによっては婚約破棄もあり得ると言いたいのだろう。
「ありがとうございます、、、。」
殿下は目に涙を浮かべ、再度父と僕に向けて頭を下げた。
本来王族が自分よりも身分の低い者に頭を下げるなどあり得ない。
これで落ち着いて今後の話ができる。
と、思った矢先王子から衝撃の発言を聞く。
「1つだけ聞きたいのですが、アンが知らない“あの未来“とは何ですか?」
え???????
僕の頭の中は ? でいっぱいになる。
隣の父を見ると、目と口が大きく開いている。
「殿下?本日の日付はご存知ですか?」
僕の問いに殿下が答える。
「6月25日ですよね?
申し訳ない、私は半年間も眠ってしまっていたようです。」
あああああ!!!!!
気づいていない。
いや、僕らも庭師が居なかったらそう思うかもしれないけど。
「殿下、我々は半年後の世界に居るのではなく、半年前の世界に時間が巻き戻っているのですよ。」
父は僕よりもいくらか冷静なようで、的確に真実を伝える。
「半年前に巻き戻る?
そんなことがあるわけないじゃないですか!
フェイン伯爵どうされたんですか?」
殿下は父が変なことを言い出したと思っている。
わかる、わかるよ〜!!!!!
僕も気づいた時は頭がおかしくなったと思ったもん!!!
父が庭師のことや、火傷の痕が残っていないこと、屋敷では我々二人以外あの日を知らないことなどを丁寧に説明した。
「そんな、、、、。
城の中を確認してきてもよろしいですか?」
殿下は信じられないようで、自らの目や耳で真実を確かめるようにしたようだ。
僕らは王城のフカフカの椅子、美味しい紅茶とお茶菓子、最高のもてなしを受けながら殿下を1時間ほど待った。
パタン、、、、。
と、殿下が静かにドアを閉めて入室する。
僕らをもてなしていた城の者に部屋から離れるように指示し、フカフカの椅子に腰掛ける。
ずっと俯いたまま。
「あり得ない!!!!!!
あり得ない、あり得ない、あり得ない!!!!
本当に半年前じゃん。
誰もあの日を知らないじゃん。
エミリー普通に王城に来ようとしてるじゃん!!!!
何なの!!!!」
殿下、ご乱心。
テーブルをバンバン叩きながら叫んでいる。
「今朝起きた時あんなことがあったのに、城の者みんな優しいな〜とは思ったよ?
何事もないように接してくれるな〜って!
そりゃそうだよね!!!
何事もないんだもん!!!
ハッハッハッハッハッ!!!!」
殿下、大笑い。
いつも落ち着いた雰囲気の殿下からは想像できない姿だ。
「殿下、こちらを。」
今朝のオリバーがしたように、父は殿下に紅茶を飲むように促した。
「ああ、、、伯爵ありがとうございます。」
殿下は婚約者の父から手渡された紅茶を少しずつ口に入れる。
全然飲めてないけど。
今朝の僕ら以上に手が震えている。
「これからの話を致しませんか?」
父が殿下に話しかけるが、彼の耳に届いているのかはわからない。
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