【64】 交渉決裂

「バオ、きちんと保証ほしょうしろ。彼女たちは関係ないんだ、おそうな!」

「……商人としての矜持きょうじか。いいだろう、ならば、あの騎乗用きじょうようペット・エミー小屋にあるクソを食いきれ。それで女たちは見逃す」


「この前の仕返しってことか……」

「当然だ。あのせいで俺様は散々さんざんだったのだからな!」



 ――――交渉は決裂・・・・・だ。



 結局、戦うしかないってことか。

 できることなら戦闘は回避したかった。でも――。


「ソレイユ、いくしかない」

「その言葉を待っていたわ。あたしはこれでも帝国の騎士よ。この聖剣『マレット』にちかい、ルナだけは守るわ」


「……おんる! ミーティア、お前はいざとなったら逃げるんだ」

「イヤですよ。ひとりだけ逃げるとか骨頂こっちょう。――でも、念のためダークコメットの詠唱えいしょうだけでも完了させておきます」


 仕方ない……か、保険・・として。


「そして、ルナ。君はあの防御ガードスキルで自身を守るんだ。いいね」

「で、でも…………分かりました。足手まといにはなりません」


 良い子だ。



「ほほう……! 背水はいすいじん――いや、無駄な足掻あがきをしようとしているな、カイト。それは愚かな選択だ。だがいいぞ、これでテメェのくびち取れるわけだァ」



 こぶしに力を入れ、つるはしを構えるバオ。

 対して、俺は手を構えた。



 ……せめてもの抵抗ていこうだ。

 店をうばわれた分、ヤツのレベル・・・を全て奪う・・・・・

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