【63】 平均レベル3000

「カイト、いくら帝国の騎士であるあたしでも、この人数はシンドイわ。しかも、相手は最強ギルド『シャロウ』よ。レベルアベレージ『3000』はあるみたい。一筋縄ひとすじなわではいかないわよ」


 汗をらすソレイユは、珍しく余裕がなかった。俺もだがな。今のところ妙案みょうあんは浮かばない。なにか、なんでもいい、打開策だかいさくを……。


「私でよければ『ダークコメット』を使用しましょうか。ただ……街への被害は甚大じんだいとなるでしょう。タダでは済みません」

「いや、ミーティアの技はナシだ。んなもん使って、俺たちの評判を落とすことはない。他に手段を考えよう」


「でも、どうするのですか。完全にかこまれてしまっているのですよ!」

「……っ」



 ひとつ・・・あるさ。



「……ルナ、今までありがとう」


「――――カイト、様?」


「これしか、方法ないだろ」

「い、いけません……。そんな、犠牲ぎせいになるなんて!!」


 そう、自信の身を無抵抗むていこうで差し出せばいい。

 それで少なくとも、みんなは助かるだろう。


「みんなが生き残るのなら、命はしくない。すまんな、ルナ。これは商売人としてのさがでね。部下の命を守らなくて何が経営者だ。だから、俺は商人として……何よりも『イルミネイト』を立ち上げた者としての責務せきむまっとうする」


「そんなのだめです! わたしは、カイト様がいない世界なんてイヤです……。あなたを失うなんて……そんなのえられない……」


「ルナ……」


 必死にうでを引っ張ってくるルナ。……俺は。



「フハハハハハハ。こりゃ傑作けっさくだ……いいぞ、カイト。無条件でくびを差し出すのなら、喜んで女たちは見逃そう。ただし見逃すだけだ。その後は保証できん・・・・・がな」



 なん……だと……。

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