【03】 救いの声
目を
このままなら俺は
「…………もし」
前の世界も、今の世界も理不尽の塊。
「あの……もしもし」
もういい、疲れた……。
全てを自然に委ね、
これで――
「あの、そこの倒れているあなた」
――声。
いつの間にか、女性の声が俺を呼んでいた気がした。そのか細い声を認知できたということは、俺はまだ生きているらしい。雨音の幻聴かと思ったけれど……気のせいではないのか。
「え……」
まさか……。
そんな
「お、女……の子?」
赤黒いメイド服に身を包み、クリーム色の長い髪が息を
「大丈夫ですか。あの、手をお貸しいたしますよ」
そう白く細い手を
その光景があまりに神々しくて、俺は彼女を天使と見間違えたほどだ。こんなゴミも同然となった俺に救いの手を差し伸べ、助けてくれるような少女がこの世界にはいたんだな。
――俺はその手を。
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