【02】 雨音

 雨音がうるさい。

 ザァザァ振りやがって……ああ、身に染みる。


 どうして、俺ばかりこんな目にわなくちゃいけないんだ。くそが。くそすぎるぜ、この世界。ゴミみたいな人生からようやく脱出できたかと思えば、この世界でも『使えん』やら『無能』やら罵声ばせいを浴びせられる毎日。あれから俺は少しだけ前世の記憶を取り戻していた。


 目も当てられないモノだった。

 その記憶も混ざり合い、余計に酷く落ち込んだ。


 うんざりだ。


 なにもかもうんざりだ!!



 けれど、死ぬ勇気もなかった。



 俺にはどうして能力がひとつ・・・しかないんだ。しかも『レベル売買』などという戦闘にも生かせないゴミスキル。

 もともと、あの最強ギルドをより最強にするために、ヤツ等のレベルを上げてやっていた。けれども、メンバーのレベルが十分に上がってしまえば俺は用済みになってしまった。


 だから、最近では無能扱い。


 散々、俺を利用して……これかよ。

 なんて理不尽。



「あああああああ、くそがあああああっ!!!」



 適当な木をり飛ばすが、俺は木にすら負けた。



「いてええええええええええ……」



 ポテっと地面に倒れ、グシャとなった。

 泥が口の中に入って来て……シャリシャリのドロドロだ。



 あー…人生って本当に理不尽。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る