第18話 ルードの森(11月30日加筆修正)
アルホフの町を出て、バーデンの町に到着。その間、これと言って大して何事も無かったので割愛する。
ちなみに、購入したベッドは、三人用と四人用を並列設置で並べて使用している。
なので、かなりゆったりめのドデカベッドと化している。
それは兎も角、バーデンで一泊したライト達は、翌日街を出て西進する。
その道中の二日間は何事もなく無事に過ぎた。三日目の夕方になる前に、第一難関のルードの森の入口に到着する。
ルードの森は普通に歩けば半日もあればで抜けれる森だ。魔物が出なければだが。そして、森の中に野営の出来る場所はない。なので、午前中に森に入れなかった場合、入口付近で野営をして翌日の朝から森に入るのがセオリーらしい。その為、入口付近の街道横には、森へと入れなかった者達が留まってしまう。
そして現在、入口に到着した徒歩の冒険者達が、街道を外れて野営の準備をし始める。もう少しすると、後続の馬車旅の商人達も集まるだろう。
そしてライト達はと言うと、街道上で立ち止まり、野営をする場所を決めかねていた。
「どうしようか……ここで野営すると確実に色々とバレるよね。だからと言って、普通のテントだとアンやヴェルやティーナが危険に晒されるし。悩む。」
要は、周りがテント郡だらけなので収納を使い辛い上に、マジックテントではなく普通のテントの場合、美少女の三人目当てに、厄介な男共が押しかけてくる可能性もあるのだ。
一応、普通のテントに結界と言う手もあるが、それはそれで悪目立ちしてしまう。
と言うより、既に美少女を三人連れてる時点で、注目の的になっているのだが。
いっその事こと、森に入っちゃうか?と思わなくも無いが、それはそれでティーナのレベル的にキツい様な気もする。
「ん〜。」
一頻り考えた末の結果、「スキル使えばいんじゃない?」と言う事で、ライト、アン、ヴェルは気配遮断を。ティーナは隠密を使い森を強行突破する事に。ゴブリンやオークなら何とでもなるだろうし、フォレストウルフやツインヘッドウルフなら逃げればいい。そう思っていたのだが……。
森に入る前、一応念の為にと、一本の縄を四人で握り、アン、ティーナ、ライト、ヴェルの順で森に入る。
森の中にはちゃんとした道があるので、木の間を通るとかでは無い。枝葉の隙間から漏れる傾きかけた日の光りを浴びながら、森林街道を順調に進んで行く。やがて辺りは暗闇に包まれ月明りがあっても一寸先が見えなくなる。
ライトの魔法を使うと気配遮断が解けてしまうし魔物にも位置がバレてしまうので、薄暗い中を月明かりだけを頼りに道を進んだのだが……。そして、そもそも森に入ったのが間違いだったと気が付く。
暫くすると、ライト達の察知系スキルに魔物の気配を捉える。
しかもそいつはこちらの気配に気付いてるらしい。真っ直ぐこちらに向かって来ているのだ。
「見つかったかも!戦闘準備しながら進むよ!」
ライト達は武器を構え辺りを警戒しつつ進む。
そしてそいつが現れた。
現れたのは、空中にフワフワと浮かぶ半透明な物体だ。
素早く鑑定でそれを調べる。
魔物名:スペクター
種族:アンデッド
レベル:45
スキル:
ライフドレイン、物理攻撃無効、異常状態無効、浮遊
闇魔法:バインド、テラー、コンフュージョン
所謂、幽霊だ。霊体とも言う。それが、三体。
初めて見る魔物に、ライトは少々混乱してしまう。
そもそも物理攻撃無効なので、武器の類は全く役に立たない。どうやって倒せばいいのか分からないライトは、他の三人に聞いてみる事に。
「アン、ヴェル、ティーナ。これどうやって倒すの!?」
「気合いじゃな。」
「ですね。」
「すみません、分かりません。」
全く役には立たなかった。
「とりあえず、アンが一体、ヴェルが一体、俺が一体か!ティーナは、レベル的に厳しいから結界の中で待機!アン、ティーナに結界を!」
そこまて指示を出すと、ライトは一番左のスペクターを相手にする。
先ずはコピーだ。最近コピーレベルが上がって、対象指定出来るようになている。
コピーLV4
スキル使用者が触れた者(物)若しくはスキル使用者の半径2m以内に入る指定した者(物)若しくは範囲内の全員からスキルをコピーし、コピースキルとして使用する事が出来る。既にコピー済の同じスキルをコピーした場合、高いスキルレベルに置き換わる。
魔法をコピーした場合、コピー元が使用出来るスペルもコピーされ使用可能になる。
発動する際はスキル名を言わなければならず、念じるだけでは発動しない。
※固有スキルはコピー出来ない。
※コピーしたままのスキルのレベルは上がらない。
※同じ対象者には一度しか使えない
まあ、普通は対象選択が先で、全員強制が後ではないのかとか、色々と思う所はあるのだが、対象を選べる様になっただけマシだと思うから文句は言わない。
それはともかく、スペクターを指定しコピーを使う。
「コピー!」
これで一先ずやる事はやったので、確認は後だ。
「ライトニング!」
物理攻撃が効かないなら、魔法で勝負だ!と言わんばかりに、魔力を込めた一撃をお見舞いする。
雷撃を食らったスペクターは、その半透明な体をパチパチとスパークさせながら次第に消えていく。アンとヴェルの方を向くと、やはり魔法を使ったようで一発で消えていた。
まさかの一撃消滅に、微妙に不完全燃焼だ。
そして、スペクターが居た場所には、魔核が落ちていた。それらを拾うと、改めて気配遮断で気配を消し縄を掴むと進み始める。
実際入ってみて分かったのだが、この森に夕方以降誰も入らない理由が良く分かった。
昼間はゴブリンやオーク、フォレストウルフにツインヘッドウルフなどが出るのだが、夜はアンデッド。しかもスケルトンやゾンビではなくスペクターやゴーストのような霊体系の魔物が出没するのだ。それこそ、間髪入れずと言えば良いのか。それくらい引っ切り無しに出て来る。
しかも霊体の魔物に気配遮断が効かない。唯一、ティーナの隠密は何故か効いてる様で、現れると必ずティーナを無視してライト、アン、ヴェルの所だけに向かって来る。
確実にライト達以外の冒険者たと、バインドで拘束され→テラーで恐怖に怯え→コンフュージョンで混乱し→ドレインタッチで生命力を吸い尽くされると言う、最悪な結果になるだろう。なので誰も夜の森には入らないのだ。
その後も時に戦い、時にはダッシュで逃げ、やっとの事で森を抜けると、既に夜が明け太陽が登り始めていた。
ちなみに戦利品は、スペクターの魔核42個、ゴーストの魔核24個だ。
これだけの数が出て来ると、通常の冒険者なら魔力が尽き、確実に死んでいるだろう。しかも、一回一回の戦闘時間は短いので肉体的疲労は少ないが、精神的疲労が半端ない。
ライト達は森を抜けると、街道から少し外れた場所にマジックテントを出し、中に入り込むとすぐさまベッドに倒れて泥の様に眠った。
目が覚めると、外は既に暗かった。結局半日以上眠っていたらしい。
ベッドから起き上がると、ティーナとヴェルも起き上がる。アンは、未だベッドの中だ。
丸一日何も食べてない為、三人のお腹が勢い良く鳴る。
「ご主人様、大豆と干し野菜、干し肉でスープを作りますね。」
メニューを告げてヴェルが調理を始める。
一応言っておくが、これでもヴェルは一応ハイ・デーモンの騎士だ。ここ最近、その事をすっかり忘れてた気がするライト。ヴェル=ご飯を作ってくれるメイド的に思っている。強ち間違いではないのだが。
そんな事を思っていると、ティーナがヴェルの元へと行く。
「ヴェルさん、私もお手伝いします!」
「あ、それではこれお願いします。」
二人は揃って料理をし始めるのだが、ティーナは料理スキルは持っていない筈だ。
「ティーナも料理したいの?」
ライトはそうティーナに聞いてみる。
「はい。私も何かお役に立てればと思いまして。戦闘では皆さんの足を引っ張ってばかりですので。」
ティーナは、申し訳なさそうに俯く。
「あ〜、ならさ。料理とか裁縫のスキルを渡そうか?俺以外にも、裁縫の出来る人居ると助かるし。料理スキルがあれば、ヴェルと一緒に出来るでしょ?後、生活魔法も。」
「はい!是非お願いします!」
物凄くキラキラとした目で、両手を組み胸の前で祈る感じでそう言うティーナ。
実際、戦闘では守って貰ってばかりであり、元王女ともあり料理などした事も無い。そんな何も出来ない自分に対し、心苦しかったのだろう。「早く呪いを何とかしてあげないと」と思いつつ、ティーナにスキルをペーストする前に自らのスキルをチェックする。
名前 : ライト
職業 : 冒険者(元奴隷)
種族 : 人種
状態 : 良好
年齢 : 10歳
レベル: 17(NEW)
経験値: 8%/100%(NEW)
体力 : 76(NEW)
魔力 : 107(NEW)
筋力 : 88(NEW)
精神力: 87(NEW)
瞬発力: 56(NEW)
スキル:
剣術LV4・格闘LV3・身体強化LV6(NEW) ・俊足LV3・気配察知・採取LV2 ・鑑定LV7
固有スキル:
▲コピーLV4
派生スキル:ペースト
剣術LV4・槍術LV2・格闘LV2・弓術LV3・棒術LV2・盾術LV3・鑑定LV7・収納LV4・気配察知・気配遮断・身体強化LV5・俊足LV3・魔力操作・調教LV3・精巧LV:2・料理・採取LV1・奴隷術LV5・乗馬・操車術・帝王学LV2・算術・商才・隠蔽LV4・結界術LV4 ・裁縫LV5・弁術・交渉術・召喚術LV6・毒耐性・ライフドレイン(NEW)・物理攻撃無効(NEW)・異常状態無効(NEW)・浮遊(NEW)
・火魔法LV3
LV1:ファイヤーボール、ファイヤーアロー
LV2:ファイヤーボム、ファイヤーウォール、
LV3:フレイムアロー、フレイムジャベリン
・水魔法LV3
LV1:キュアウォーター、ウォーターアロー
LV2:アクアスラスター、ウォーターボム、キュア
ポイズン
LV3:アクアヒール、アクアジャベリン、アクアウォール
・風魔法LV1
LV1:ウィンドアロー
・土魔法LV3
LV3:アースウォール
・雷魔法LV1
LV1:ライトニング
・闇魔法:(NEW)
バインド、テラー、コンフュージョン
・生活魔法:クリーン、ドライ、ライト、ウォーター、ファイヤー
・時空間魔法LV2
LV1:スロウ
LV2:エリアスプレッド
・付与魔法LV1
LV1:サイズ調整
初めての魔物相手にコピーを使ってみた結果、一応魔物に対してもコピーは出来るみたいであった。ただ、あまりやり過ぎると、人間を辞めないといけない様なスキルまでコピーしてしまう可能性はあるが。
その代表的なスキルが、スペクターからコピーしたライフドレインだ。更に言えば、浮遊スキルもだ。どのタイミングで使えばいいのだろうか?
物理攻撃無効に異常状態無効に関しては、有難いスキルではある。特に、異常状態向こうは、毒や麻痺にならないので、重宝するスキルだろう。
一通りの確認をした後、少し待たせてし待たせてしまったが、ティーナには料理、裁縫LV5、生活魔法をペーストした。
ペースト後、ティーナはヴェルに作り方を教えて貰いながら、楽しそうに笑いながら料理をしていた。
その姿を見て、「可愛いいなぁ、コンチクショウ!」と思うライトだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます