第17話 やっと1/3(11月30日加筆修正)
新たに鬼人種のアルベルティーナ・オーグレーン(略してティーナ)を仲間に加えたライト達。とりあえず泊っている部屋が三人部屋なので、明日の朝迎えに行くと言う事になり、ティーナをアードルフの所に残し宿屋へと戻った。
帰り際にアードルフへお金を渡し、ティーナの装備や必要な物を購入して貰う話も付けてある。
そして明けて翌日。
朝食を摂り、大将にお礼を言うと、ライト達はティーナを迎えにアードルフの商会へと向かう。
ライト達が到着すると、既に商会の前にはティーナとアードルフが待っていた。
ティーナの首には、ギルドタグがぶら下がっており、ギルド登録の方もしてくれてたようだ。
そんなティーナの身形はと言うと、上はチェニックに下は膝までのスカート。革鎧を着込み両腕には殴り倒すようなのかゴツイ鋼のガントレットを装着しており、腰には予備の武器だろう鋼のメイスをぶら下げている。
小さめの背嚢には替えの服や下着、毛布、水筒、食器類等々を入れているらしい。
予算として金貨5枚程渡していたのだが、お釣りで金貨5枚返って来た。
意味不明に思ったライトが抗議をするも、「いいから、取っておきなさい」とアードルフに諭される。
「それじゃあ、アードルフさん色々お世話になりました。数年後に報告の為に一度寄らさせてもらいますね。それまでお元気で。」
「ああ、ライト君達も気を付けて行くんだよ。ティーナの事を頼んだ。後、これはティーナの予備の靴と少しばかりだがパンと干し肉だ。足しにしてくれ。」
ライトはアードルフからそれらを受け取ると、とりあえず自分の背嚢へと入れお礼を言ってその場を出発する。
町の西門から出て、街道沿いに進み次の町アルホフを目指す。所要日数は約3日だ。
アルホフの街では依頼は受けず、一泊したらそのままバーテンを通りカーマンに移動する予定だ。
アルホフまでは平地の街道を真っ直ぐ進むだけなので、ほぼ魔物は居ないのだそうだ。たまにホーンラビットやハグレのスライム、ゴブリンやアサルトボアが出てくるくらいらしい。とは言え、スライムなんて滅多に出会う事は無いのだそうだが。
そしてこの中で一番気を付けないといけないのは、野生のアサルトボアくらいだろう。
それと、追加情報でアードルフから教えて貰ったのは、「隠蔽のスキルがあればとりあえずの応急処置として奴隷紋を隠す事が出来る」らしい事だ。
ただ、レベルによって効果時間が変わるらしく、ライトの隠蔽レベルだと半日と少々短い。それに、奴隷紋に直接触れての作業になるので、時と場所を選びそうでもある。
ただ、ライトとしてはアンやティーナの胸に触れられる事を想像して、ちょっとニヤけてしまった。エロガキだ。
自分自身の場合も、背中に手を回せば奴隷紋に届くので、いざという時は使用した方がいいのかもしれない。そう思うライトであった。
と、まあ、そんな事を考えながら男一人、女三人が動くと、必然的に起こる事がある。お約束の、大人の冒険者に絡まれると言う珍事だ。
「ガキが女ばっかり引き連れて、ハーレムなんて作るんじゃねえよ!」
「お前、俺達のパーティー舐めてんのか?」
そう言って捲し立てる彼らは、男四人のむさいパーティーなのだ。所謂、やっかみっと言うやつである。
ライトは盛大に溜息を吐きながら、「めんどくさいな~。こいつらどうしてやろうか?」と思ってた所、後ろから追い付いて来た冒険者が慌てて割り込んで来た。
「バカ!この子らに絡むんじゃねえ!お前ら死にたいのか?」
「ああん?何で俺達が死ぬことになるんだよ!死ぬのか、このガキだろ!」
そう捲し立てるむさい男だったのだが、その後割り込んで来た冒険者に、ここ最近のライト達の事を聞き、むさい四人は顔を青褪めさせて謝って来た。
その心当たりがありありの内容に、逆の意味で引き攣るライト。自分は、あの町でどんな風に思われてるんだろうか……。と落ち込んでしまう。
まあ、それはともかく、初日はそれ以外の何事も無く無事に終わる。
いつもの如く街道からかなり外れた場所にマジックテントを出し、中に入るとゆっくりと休む。
が、しかし。ライトはすっかり忘れていた事がある。
そう、このテントにはベッドが一つしかないのだ。一応、大人三人が寝るだけの大きさのあるベッドではあるが、ここにティーナが入ると流石に狭い。
そうなると、誰かが床orソファーで寝なければならない。
「メイドの私が床で寝ますので。」と言うヴェルに「それはダメだ!」と言い、結果、ライトがソファーに寝る事に。
アルホフに着いたら、ベッドを買わなければ。と予定に入れる。
夕食後、ティーナにはライトのスキルの事を伝えた。
そして、現状ティーナが所持しているスキルで、ライトの方がレベルが高い物をペーストする。
名前 : アルベルティーナ・オーグレーン
職業 : ライトの奴隷(元オーグレーン王女)
種族 : 鬼人族
状態 : 呪い(成長阻害)
年齢 : 134歳
レベル: 3
経験値: 35%/100%
体力 : 21
魔力 : 13
筋力 : 36
精神力: 27
瞬発力: 38
スキル:
真祖の呪い・体術LV3(NEW)・棒術LV2・身体強化:LV5(NEW)・気配察知・隠密・帝王学LV3・算術
呪いが気になるところだが、スキルペーストは影響を受ける事は無かった。それに、スキル欄に移したスキルも、ペーストの対象だった事が功を奏した。
それと今まで言おうと思いつつ言えなかった事をアンに伝える。
「そう言えば、アンの情報が見れないんだけど?」
少々文句ったらしい言い方ではあるが、そのように伝えたところ
「あ、すまぬのじゃ。妾は普段から隠蔽してるのじゃ。」
そう言いながら、アンは隠蔽を解除する。
ちなみに、アードルフ曰く「奴隷契約をする時に既に隠蔽されてる情報は契約後も隠蔽されて見れないんだよ。」と言っていた。
で、アンの情報だが
名前 : アン=ソフィ・ヴェスティーン
職業 : 吸血姫
種族 : 真祖ヴァンパイア
状態 : 良好
年齢 : 876歳
レベル: 678
経験値: 87%/100%
体力 : 2478
魔力 : 7429
筋力 : 1463
精神力: 3387
瞬発力: 2641
スキル:
剣術LV7・格闘LV6・弓術LV5・棒術LV6・鑑定LV8・収納LV7・気配察知・気配遮断・身体強化LV7・縮地・魔力操作・物理攻撃耐性・魔法防御耐性・奴隷術LV8・乗馬・操車術・帝王学LV9・算術・隠蔽LV7・結界術LV8 ・召喚術LV8
・火魔法LV7
LV1:ファイヤーボール、ファイヤーアロー
LV2:ファイヤーボム、ファイヤーウォール、
LV3:フレイムアロー、フレイムジャベリン
LV4:ファイヤーストーム、エンチャントフレイム
LV5:フレイムサークル、ファイヤーアローレイン
LV6:フレア、フレイムバースト
LV7:エクスプロージョン、メテオインパクト
・闇魔術LV7
LV1:バインド、ダークボール、テラー
LV2:ポイズンミスト、パラライズミスト
LV3:スリープクラウド、ダークネス
LV4:コンフュージョン、テンプテーション
LV5:ダークマター、ペイン
LV6:インフェルノ
LV7:ブラックホール、ダークメテオ
・雷魔法LV5
LV1:ライトニング、ショック
LV2:ライトニングジャベリン、ライトニングウォール
LV3:サンダーボルト、サンダージャベリン
LV4:サンダートルネード
LV5:サンダーレイン
・時空間魔法LV5
LV1:スロウ
LV2:エリアスプレッド
LV3:ストップ
LV4:ゲート
LV5:テレポート
固有スキル:
血操作・血爪術・血鎖術・血変換・影移動・光無効・不老不死・超回復・異常状態無効・即死無効・眷属召喚・眷属作成・闇耐性
ヴェルと言い、アンと言い、もう完全にぶっ壊れ性能だ。この二人が居れば、ライトなんて要らないのではないかと思える程のぶっ壊れ性能だ。
アンのステータスを見た瞬間、ライトは自分自身が居た堪れなくなり、そっと目を逸らした。
そもそも、最初に会った時点で、アンに襲われていたら確実に即死だっただろう。
「よくやった、俺。ナイス俺!」心の中でそう思いつつも、よくあの女Aは死ななかったな。と、アンの匙加減具合にも感心した。
鑑定する事が出来、晴れてスキルや魔法が使えるようになったアンなのだが、デフォで収納スキルを持っていたのが発覚したため、現在渡している収納の指輪をティーナへと渡す事が決定した。
その為、現在二人は荷物のやり取り中だ。
そんな中、ライトはふと疑問に思った事をアンに聞いてみる。
「なあ、アン。アンは魔法とスキルが使えるようになったから、もう屋敷に帰れるんじゃないのか?」
そう、アンの魔法に「ゲート」や「テレポート」と言う移動系スキルがあったので、それを使えば帰れるのでは?と思ったのだ。
「まあ、帰ろうと思えば帰れるじゃろうの。じゃが、ライトと居ると楽しいし、奴隷紋も消したいからの。当分一緒に旅するのじゃ。」
「ああ、それがあったか。」
現在、アンはライトの奴隷扱いとなってる。
これはアンとの約束である、「スキルや魔法を使えるようにする」為の契約の上書の為だ。ひつつは約束を果たしたが、もう一つの「奴隷紋を消す」と言う約束はまだ果たされていない。
「わかった。じゃあ、奴隷紋が消えるまで一緒に行こうか。」
「そうするのじゃ。」
結果、今後も四人での旅は変わらないのであった。
翌日からは特段変わった事も起きてない。
理由は、平地を普通に歩くだけだし、周りに冒険者や商人の達が同じく歩いていたので、魔物も襲って来る事が無かったからだ。
そもそも現在歩いている街道横には、丈の短い草しか生えてない。不意打ちを食らわそうにも、見通しの良いこの場所で魔物も隠れる事が出来ない。なので、四人で楽しくお喋りをしながら歩いている。
そして予定通りにアルホフの町に到着した。町に入る人はそれなりに多かったが、そこまで時間も掛からずすんなり通れて無事街に入る。
次も西に向かうので、西門に近い「踊る親父亭」と言う何とも微妙な宿に部屋を取った。ただ、名前はアレではあるが、部屋は綺麗だし大将も優しい人だった。
部屋割りは、一人部屋をライトが。三人部屋を女性陣が使う事となり、一泊二食付きで銀貨四枚を支払った。
色々な町に立ち寄り分かってきたのだが、普通の宿で一泊二食付きの宿代は大体銀貨一枚前後が相場みたいである。稀に素泊まり銅貨八十枚と安い宿もあるのだが、その場合、無論食事は外でとなる。外で食事をすると、朝食と夕食合わせて大体銅貨二十枚から三十枚少々はやはり掛かるので、素泊まりよりは食事付きの方が案外安く付くと思われる。
まあ、宿に関しては、門番にお勧めの宿を聞くのが一番確実だ。
それはさておき、宿を決めた後、ライトとヴェル、ティーナは買い物に出かける。
と、言っても食材はあるから、ライト用のベッドを買いに行くのだが。
宿屋の大将にベッドを売ってる場所を聞き、教えて貰った通りに店に向かう。
ただ、食材は要らないとか言いながら、途中で見付けた店で美味しそうな果物を見たヴェルが「是非に!」と言うのでそれを購入。店を出てまた歩き出す。
大将が教えてくれた家具屋に到着すると、店の人にベッドを買いたい事を伝える。
本来は注文を受けてから作るのだそうだが、たまたまキャンセルになったベッドがあるそうだ。ライトとしては急ぎで欲しいので「それでいいですよ!とりあえず見せて下さい。」と告げて現物を見せて貰う。
ただ、見せて貰ったベッドと言うのが、今のベッドよりデカい。
確実に大人四人は寝れるくらいの大きさだった。
「売れ残っても困るから、買うなら名一杯安くするよ?金貨15枚でどうだい?」
見た目10歳の子供に金貨15枚と言う店主。普通に考えると、そんなに金を持っている様には見えない筈なのに。ただ、まあ、実際に金は持っているライトなので、払えなくも無いのだが、もう少し安く買いたい。
「金貨7枚なら買います。」
「バカ言っちゃいけねえ!このベッドは、通常金貨30枚は下らないんだぞ?半額にしてるんだ、それ以上はまからないな。」
そう言われると、余計に値切り衝動に駆られてしまう。
やれ金貨14枚だ、いや金貨8枚だと言い合い交渉した結果、値切りに値切り金貨10枚で購入した。
鑑定で調べた所、適正価格は金貨20枚らしいので、金貨10枚と言う値はまあいい方だろう。
代金を支払い、ヴェルのマジックバッグに入れようとしたら入らなかったので、アンの収納に入れて店を出る。
10歳児なのに、既に金銭感覚がおかしいライトであった。
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