第14話 一波乱再び(11月29日加筆修正)
side:冒険者(少しだけ合いの手入り)
俺の名前は、イタイヤツ。
ランクD冒険者パーティー『神が宿りし左腕 』のリーダーだ。幼馴染みの女ヤンデレ。もう一人幼なじみのチュウニと一つ年下の虎獣人の女ツン・デレと共にパーティーを組んでる(何て名前だ!)。
四人はこの町の孤児院出身者だ。そして、この町最速でランクDに駆け上がった(見習い期間中にランクF基準になってただけ)超期待の冒険者だ(自称)!
ある日、そんな俺達に割り込みだとイチャモンを付けて来たガキが現れた(割り込みはいけません!)。それも、美少女を二人も連れてんだぜ?羨まし・・・ゲフンゲフン(そっちかよ)。
少し大人の余裕を見せてやろうと思ったが、おじさん呼ばわりされ少々頭に血が上ってしまう。その後騒ぎを聞きつけた門兵がこっちにやって来た。
チッ。俺は大人だ、ここは美少女に免じて許してやんよ!(やっぱそっちかよ!)そう言い放ち(実際は違うが)、俺達は最後尾に並び直す(当たり前)。
その後かなりの時間が掛かり、ようやく町へと入れた。
あ?何で時間が掛かったかって?
そりゃ、門兵に事情聞かれたからに決まってんだろ!誰かがチクリやがったんだ!しかも、全くの嘘ばかり(お前が嘘ばかりなんだが)。そのせいで、何故か警告まて喰らうし(いや、当然だろ!)。
俺達が何したってんだよ!
余りに時間を食い過ぎて、ギルドに到着したのは夕方だった。依頼の報告をし、報酬を受け取りギルドを出ようとした所で再びヤツに出会う。
しかも、大衆の面前でまた嘘を言いふらしイチャモンを付けて来た。もう我慢ならねぇ(いやいや、我慢しろよ)!仲間もかなりお冠だ。
俺はガキに、お仕置と言う名の愛のパンチを繰り出す!……つもりだったんだが……あれ?何が起きた?気が付けば、俺は地面へと蹲っていた。更には、膝が笑って立ち上がれない。そして、腹から何かが込み上げてくる。
オェェェェエエ工!
横目で仲間を見ると、美少女メイドに殴り倒され気絶してる。
そして、ガキが俺の腰から武器と荷物を盗み、美少女メイドは仲間の武器と荷物を盗みむと美少女メイドの鞄に吸い込まれる様に消えた。マジックアイテムか!?
そしてガキはギルドへと消えて行く。
その後暫くして復活した俺達は、ガキを追ってギルドへと入る。しかし、ガキはギルマスに呼ばれたらしくその場には居なかった。そして、他の冒険者には白い目で見られるし、職員には怒られるしで逃げる様に宿へと戻る(ダサっ!)。
だが、ギルマスに呼ばれてると言う事は、盗んだ荷物を取り返してくれるつもりだろう。それだけ俺達は、期待されてるんだ(いや、無い無い)。そう思い、ギルマスからの呼び出しが来るまで待つ事に。
とりあえず、宿代前払いしてて良かった。
二日後。
待ちに待ったギルマスからの呼び出しが掛かる。
チッ、やっとか。時間掛けやがって。お陰で依頼も受けれず無駄な時間を過ごす事になったじゃないか!この無能共が(お前が言うか!)!まあ、取り返してくれたのだから、そこは穏便に金で解決してやろう。一人頭、金貨1枚くらいでいいだろう。俺達は期待の冒険者だからな(だから、無いって)。そう思いながらギルドに行くと、ギルマスからとんでもない事を言われる。
「君達は冒険者として恥じる行動をした。列の割り込みや10歳の子供に手を出したんだ。武器や荷物は戦利品として取られても文句は言えないね。しかしだ。今までのギルドに対する貢献を鑑みて、荷物はギルドで適正な価格で買い戻した。君達がこれを機に反省し今後も冒険者として続けて行くつもりなら、ギルドに借金をしてでも買い取りこれからも頑張って欲しい。」
はぁ?意味わかんねぇ!何で俺らが荷物取り戻すのにギルドに借金してまで買い戻さないと行けないんだ!?
俺達はギルドと揉めに揉めた。
その後どうやっても折れる事のないギルマスに、俺以外が借金してまで買い戻す事で合意する。後から聞いたら、面倒くさくなったらしい。
その後、俺は四人に説得され、渋々了承する。
しかしだ!買戻し額が金貨10枚だと!一人頭金貨2枚銀貨50枚って高過ぎやしねぇか!?しかし内訳を見せられた上で、ギルドの儲けも入っていると説明された俺達は納得するしか無かった。
確かに武器だって買うとかなりの値段がするからな。
借金の証文を書かされた俺達は、荷物を受け取りギルドを後にする。
チクショウ!なんか腹の虫が治まらねえ!あのガキがイチャモン付けて来なければ、こんな事にはならなかったんだ!
ギルマスには、「今後二度と揉め事を起こさない様に。後、彼らに一切手は出さない様に!」と釘を刺されたが、口さえ封じてしまえばバレる事も無い。
よし、あいつらボコボコにして金やら何やら踏んだくってやる!確かあのメイドがマジックバックを持ってたな。あれを手に入れれば、相当な利益にもなるだろう。
よし、そうと決まればあのガキの足取りを追うぞ!
俺はそう決めると仲間にその事を話す。
ヤン・デレもツンデレもチュウニも「やっちまおうぜ!」と俺の話に乗り、ガキどもを探しに行く事に。さて、何処を探そうか。
確かあいつら冒険者見習いらしいな。もしかしたら依頼を受けてるかもしれないか。
俺はそう考え、バラけて四つの城門へと聞き込みに向かう事に。
そして、俺が向かった北門でガキの情報を掴む事が出来た。
「10歳くらいの男の子と女の子、メイドの三人組を見ませんでしたか?」と聞けばすぐに教えてくれた。これでも期待の冒険者だ!門番も顔馴染みなんだよ!
俺は情報を持って、待ち合わせ場所のギルド前に向かう。
仲間と合流すると、北門を出て街道を歩く。昼飯は歩きながら食べ、ガキ共が来てるであろう森の近くの街道脇で待つ事に。
何でわかったかって?
見習いが城門の外に出る依頼は、薬草採取くらいなんだよ!
ホーンラビットだったとしても、この辺りの平野だ。
ここら辺で待ってれば確実にガキと遭遇出来る。
そして、その予想は的中する。
side:ライト達
冒険者として初依頼を受けた翌日。昨日採取しなかったヒルバ草とファリウム草を取りに行く。
昨日と同じ道を通り、昨日と同じ森に入る。昨日と同じ役割で必死にヒルバ草とファリウム草を採取して行く。
昼食を挟み、ある程度採取出来た所で町に戻る事にする。
ここは町から多少離れているので、日が暮れる前にはギルドに報告をしたかった。
ライト達は森を出て、街道へと向かって歩く。
そして気付く。あ~、やっぱり居るのかと。
ライトの気配察知に、それはもう特大の殺意を放つ気配を捕らえる。
しかも四つ。
「めんどくさいのが現れたかも。」
アンとヴェルにそう呟く。
そして、やはりと言うか例の四人組の姿が見えて来る。背嚢を背負い、剣を下げてると言う事はそう言う事なんだろう。
四人組は俺達の姿を確認すると、ゆっくりとこちらに近付いて来る。そして、お互いが目と鼻の先くらいまで距離が縮まった所で男達は背嚢を下ろす。
「おう、クソガキ。お前らのせいで、とんだとばっちりを喰らったじゃないか。この落とし前どう責任を取ってくれるんだ?」
ライトの顔を見るや否やそう口にする男A。
「とばっちり?自業自得の間違いじゃなくて?」
「はぁ!?ガキが舐めてんじゃねえぞ!」
男Aは青筋を立てて怒る。それを宥める男Bと女AとB。男Aは落ち着いたのか、深呼吸をして再度口を開く。
「まあいい。おいガキ。有り金と全員の荷物。後、そのメイドの持ってるマジックアイテムを確実に置いて行けば見逃してやるぞ!」
この言葉で、こいつらがヴェルのマジックバッグが目当てなのだと理解する。
「ついでに、その美少女二人も置いて行け。俺の女にしてやる。」
「……こいつ本気で言ってるのか?」
余りのアホさ加減に、つい声に出してしまうライト。まあ、言ってしまったものは仕方が無い。無論、アンもヴェルも分かりやすく嫌な顔をしてる。と言うより、「お前、殺すぞ?」と言う顔だ。二人が怖い。
「あぁん!?お前、この状況が分かってんのか!」
男Aは、そう言うと剣を抜き放つ。男Bも女Aと女Bも、「こいつら殺っちまおうぜ!」とか「これだからガキは手に負えないんだよね。」「そうそう。ボコっちゃっていんじゃない?」とか言いたい放題言いながら武器を構える。
二日前に一撃で気絶した事を既に忘れているようだ。
ライトはこの頭の悪そうな会話を聞き、溜息を吐きながら俯く。
それを、ビビってると捉えたのだろう。男Aが調子に乗って来る。
「ハッ!今更恐ろしくなったか!しか~し!もう遅い!お前はここで殺す!女二人は、まあ仕方ない。多少の痛い思いでもすれば言う事聞くだろう。」
そう言いながら、イヤらしい目でアンとヴェルを舐め回す様に見る男A。
見た目に反して、アンとヴェルの二人は、かなりの年上なのだが。この男、少女趣味なのだろうか?
ライトがそう思った瞬間、アンとヴェルが殺気が籠った目でキッと睨みつけて来る。
冷や汗を掻くライト。女性の年齢を言う物ではない。
そんな殺気を無視するように、気を取り直して男Aの方を向くが、もうめんどくさくて仕方が無い。
やるならサッサとやって欲しいものだ。
「念の為に一応聞くけど、ギルドマスターから厳重注意されたんじゃないの?」
昨日、ギルドマスターが「彼らに厳重注意をする」と言ってたので、してないとは思えなかったのだが、この様子だとそれを無視して来た感じだろう。
それが証拠に、男Aがアホな事を言い始める。
「あぁ?そんなん、お前らの口さえ封じてしまえば関係ねぇ!」
要は殺せば関係ないと言い切ったのだ。バカだバカだとは思っていたが、本当にお馬鹿な男だった。
ギルドマスターにしてもビアンカにしても、最後までこの男達の事を信じてたのだろうに。しかし、ここまで来ると、もう救いようがない。ライト的にも、こいつらを相手にするのに疲れ始めていた。
「はぁ。もういいから、やるならやれば?」
ライトは盛大に溜息を吐く。
そしてその言葉を聞いた男達は、ニヤニヤしながら襲い掛かってくる。
・アン対女Aの場合
女Aは虎獣人の女だ。
素早く動き、両手に持った短剣で相手を切り裂いて行くスタイルだ。
短剣を抜き放った女Aは、アン目掛けて短剣をクロスして斬り付ける。
そして、アンの一撃で首が反対向いてしまう。
・ヴェル対男B・女Bの場合
男Bは右手に小剣、左手に短剣の二剣使いだ。女Bは小剣を両手で構えている。
男Bと女Aは大剣を背負ったヴェルを挟み撃ちにする。
男Bがヴェルの大剣を剣で受け、短剣で攻撃。女Bがその隙に小剣でダメージを入れると言う連携なのだろう。
ただ、男Bと女Bが振るう剣はヴェルを捕らえる事は出来なかった。
ヴェルはバックステップで間合いから外れると、すぐさま男Bの後頭部を裏拳で殴り付け地面に沈め、その足で女Bの方へと向きを変えると足を振り上げ女Bの後頭部へと踵落としを決める。
男Bも女Bも顔面から地面へメリ込み、ピクリとも動かなかった。
・ライト対男A
男Aは長剣を構えると、ライトを弄ぶかのように牽制をする。
そしてライトが剣すら抜かない事に、「こいつビビってんな」くらいに思ったのか、剣を大きく振り被り斬り付けて来る。
全く学習しない男だった。
ライトは俊足を使い、一気に懐に入り込むと鳩尾に一撃を入れる。しかも、今度は手加減なしだ。ドゴッと物凄い音と共に、男Aの体はくの字に折れ曲がりそのまま地面に膝を突き倒れ込む。
正に、呆気ない戦いだった。
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