第133話:付与魔法使いは妨害する
どうやら、フィーラは獣人奴隷の魔力を吸い取り、自分のものにしているらしい。
奴隷たちは、そのほとんどがもともと魔力を多く持っていない。
それ故に一人一人の奴隷から吸い出せる魔力は大きくないが、それでもこれだけの数が集まれば、莫大な魔力になることは間違いない。
魔力の大きさが必ずしも強さに繋がるわけではないと言っても、おそらくは大きな魔力を使いこなす術も身に着けているだろう。
なかなか厄介である。
そして、それ以上に気がかりなことが一つあった。
「お前、どこまで吸い取る気だ……?」
人間は、生命力と魔力を身体に保有している。
魔力が減るとまずは疲れやすくなり、次に意識レベルが下がる。
最終的には、魔力が足りない分は生命力で補うことになるのだが、生命力が尽きた時には人は死んでしまう。
魔力の吸い取れるのだとしても、この辺りは考慮する必要がある。
実際、魔力を吸い取られている奴隷たちはどんどん顔から血の気が引いていた。
「どこまで? あなたバカなことを聞くのね。そりゃ、死ぬまでに決まってるじゃない?」
「……っ⁉」
「あら、そんなに驚くこと? 実は人って、魔力ポーションよりコスパが良いのよ? 獣人でも同じ。減ったら足すだけのことよ」
「……お前、本気で言ってるのか?」
確かに、人から直接魔力を吸い取れるのなら、高価な魔力ポーションを都度買うよりも効率が良いのかもしれない。
だが……さすがに酷すぎる。
獣人も、普通の人のように感情がある。
それぞれに家族がいて、人生がある。
それなのに、フィーラの口調はまるで物を扱うかのようだった。
「あなたには関係ないでしょう? 私の持ち物だもの」
「そうかよ。なら、こっちにも考えがある」
俺は、獣人奴隷たちに左手を向けた。
獣人奴隷からフィーラに流れる魔力の流れに意識を集中させ、回避方法を考えた。
やったことがないので、できるかはわからない。
だが、できる自信はあるし、やってみる価値はある。
俺は、即興で作った付与魔法を獣人奴隷たちに付与した。
『魔力発散阻害』
魔力の発散を阻害することで、獣人たちの肉体から魔力が抜け出さないようにする付与魔法である。
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