第130話:付与魔法使いは誤解される

「フィーラたちは謁見の間にいるみたいなんだが、周りにかなりの人がいるんだ」


「人……ですか?」


「数はどのくらいなの?」


「多分、百人……は超えてると思う」


「百人⁉ だ、誰なのですか⁉」


「それがわからなくて気になってるんだ」


「なるほどです……」


 『周辺探知』は、あくまでも魔力の影を捉えることしかできない。


 実際にそこに誰がいるのかは、見てみなければわからないのだ。


「とりあえず、行ってみるしかない」


 魔力の大きさを見る限りは、フィーラたちに比べればかなり小さいため、あえて弱く見せかけていなければ戦闘力の面では警戒する必要はなさそうだ。


 俺たちは、最短距離で謁見の間に向かった。


 ◇



 ガタン。


 謁見の間の扉を開けると、百人の魔力の正体はすぐに明らかになった。


「ど、奴隷ですか……⁉ こんなにたくさん……⁉」


「それにしても、どうしてこんなところに……?」


 俺が捉えた百人の正体は、フィーラが購入したと思われる百人超の獣人奴隷だった。


 全員が首を繋がれており、死んだ目をしている。


「あら? どうしてあなたがここに?」


 謁見の間の王座に座るフィーラが俺たちに声を掛けてきた。


 まだ王位の譲位は行われていないようで、王冠を被ったフロイス国王が隣で縛られている。


「勇者が無謀なことを企んでいると小耳に挟んだものでな」


「へえ。それで、無駄な正義感だけでここまで来ちゃったと」


 フィーラはため息を吐き、言葉を続けた。


「あーあ。だから、王都から離れなさいと忠告してあげたのに」


 そういえば、マリアの引き渡しの際にそんなことを言われたな。


 あれは、こういう意味だったのか。


「それにしても、あの警備を突破してここまで辿り着くとは……なかなかやるようだな。ガリウスとの決闘は演技だったのか?」


 マグエルがそんなことを尋ねてきた。


「……」


 事実そうなのだが、わざわざ答えてやる必要もない。


 黙っていると、隣のセレスがセリアとユキナを見て言った。


「マグエル、違うよ。強いのはその男じゃなくて、連れの女。結構やるよ」

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