第126話:付与魔法使いは犯人を知らされる

 自分の意思で戦っていなかった五人は少し安堵したような表情を浮かべていた。


 彼らはその場に跪き、両手を上げて降伏の意を示している。


「い、いったいなんだこりゃ……?」


「急に降伏……? どうして……?」


「演技か……?」


 あまりに大きな状況の転換に理解が追いつかないナルドたちパーティ。


 これは、さすがに説明しておく責任がありそうだな……。


「『レッド・デビルズ』の連中には、命令に背くと死ぬ呪刻魔法がかけられていることは知ってるだろ? それを付与魔法で解除したんだ」


「そ、そんなことができるのか⁉」


「……まあな」


「ま、まあアルスならできてもおかしくないか。さすがだな」


 短い説明だったが、七人は納得したようだった。


 付与魔法で色々とできることは見せていたので、すぐに順応できたのだろう。


「じゃあ、俺たちは……」


 この場は一旦片付いたということで、王宮へ向かおうとした時だった。


「ああっ、そういや、アルス!」


「ん?」


 少し焦った様子で俺を呼び止めるナルド。


「アルス、この騒ぎがフィーラたち勇者の仕業ってのは知ってるか?」


「勇者……? どういうことだ?」


「俺たちもまだ全容は掴めないんだが、王宮から逃げてきた騎士団によれば、フィーラたちは王都を占拠するつもりらしい。国王の身柄も既にあいつらの手にあると言っていた」


「そ、それ本当なのか⁉」


 まさかの話に思わず驚いてしまう。


「でも勇者がどうしてこんな……? っていうか、それでなんで『レッド・デビルズ』が……?」


 次々に疑問が生まれてしまう。


 ナルドは話を続けた。


「もともとガリウス以外の三人と『レッド・デビルズ』は繋がっていた……どころか、『レッド・デビルズ』の上層部はあいつらだったらしい。表に出てきたことがなかったせいで、今の今まで王国は気づかなかったんだとさ」


 えっと……つまりどういうことだ?


 言葉は理解できるが、あまりに唐突なせいで理解が追いつかない。


「フィーラたち三人が実は『レッド・デビルズ』を支配していて、三人の命令を受けてこの騒ぎを起こしたってことで合ってるか? ん、でもガリウスは違ったのか?」

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