第125話:付与魔法使いは解放する
『レッド・デビルズ』は王都では恐れられる存在ではあったが、王都には王国騎士団たちが目を光らせているため、組織は小規模に留まっていたと言われていた。
王国騎士団は常に最悪事態を想定しているため、犯罪ギルドの連中が好き勝手をしているように見えても、いつでも組織を潰せるようコントロール下にあったはずだ。
どうしてこうなった……?
ともかく、『レッド・デビルズ』に王都を占拠されるのは不味い。
現政権の良し悪しはともかく、犯罪ギルドの好き勝手にされるわけにはいかない。
王都には、王国の首都機能が詰まっている。
王都を制圧されるということは、メイル王国を支配されるということだ。
それはさすがに困る。
「あれは……」
王宮の近くに着くと、王宮に侵入しようとする『レッド・デビルズ』の集団をナルドたち旧勇者が阻んでいた。
ドガアアアアアンッ!
『レッド・デビルズ』の構成員と比べれば圧倒的な強さを誇るナルドたちは、次々と敵を薙ぎ倒していく。
しかし、そうは言っても多勢に無勢の状況では苦戦しているようだった。
「加勢しよう」
とはいえ、『レッド・デビルズ』の人間はメルナと同様に被害者でもある可能性もある。
殺すことのないよう、剣や魔法は使わずに対応することとしよう、
俺は、ナルドと、ナルドと戦う剣士の間に入った。
キンッ!
攻撃を受け流しつつ、ナルドと話せる状況が出来た。
「ア、アルス⁉ 『カタリナ洞窟』に行ったんじゃ……⁉」
急に俺がここに来たことで、驚かせてしまったようだ。
「『カタリナ洞窟』の件は片付いた。それより、今から呪刻魔法を解除する」
俺はこのように宣言し、ナルドたちパーティが戦う集団に向けて付与魔法を掛けた。
『呪刻解除』。
『呪刻解除』。
『呪刻解除』。
『呪刻解除』。
『呪刻解除』。
やはりメルナと同様に、『レッド・デビルズ』の末端の構成員には呪刻魔法が掛けられていたらしい。
「お、俺……自由なのか⁉」
「も、もう命令に逆らっても死なないんだ……!」
「なんてこった! こんなことがあるのか!」
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