追放された付与魔法使いの成り上がり 〜勇者パーティを陰から支えていたと知らなかったので戻って来い?【剣聖】と【賢者】の美少女たちに囲まれて幸せなので戻りません〜
第114話:付与魔法使いは危機感を抱く
第114話:付与魔法使いは危機感を抱く
「な、なんだかすごく気持ち悪いです……」
「私も……なんか、変かも……」
ニーナとマリアが青い顔をしてした。
「魔力酔いですかね?」
「ここに来て急に魔力が強まった気がするわね……」
魔力酔い。
突然強い魔力にあてられたことで身体が過敏に反応し、体調を崩す現象のことを言う。
俺たちほど魔力量がない二人には、この環境は苦しいようだ。
普段のこの場所なら魔力酔いを起こすようなことはないはずなのだが……。
とはいえ、乗り物酔いなどと同じで命の危険を伴うようなものではない。
洞窟の入口を少し進んだところに来て、俺はようやく異変の正体に気が付いた。
「ダンジョンの入口⁉」
なんと、洞窟の入口には、ダンジョンの入口であるポータルがあった。
ビリビリと禍々しいオーラを放つポータルからは、尋常ではない魔力を感じる。
「洞窟全体がダンジョン化したのか……? でも、こんな短時間で……?」
唐突にダンジョンが発生すること自体は珍しくない。
だが、フィーラたちがここに来たのは昨日の話。
昨日になかったものが今日急にここまで大きく成長するのは異常だ。
制限時間の表示はないようなので、ベルガルムで遭遇したようなゲリラダンジョンではないようだが、今回のダンジョンは別の意味で放置できなさそうだった。
「……不安定だな」
普通、ダンジョンの外にこれほど多きな魔力が漏れ出すことはない。
ポータルの外側にいるニーナたちが魔力酔いを起こすほどとなると、かなりの量が漏れ出ているだろうことが予想できる。
太古の昔の話だが、こうした不安定なダンジョンが崩壊し、魔物が外に流出したという話が現在まで伝わっている。
ここは王都にほど近い場所だ。
もし万が一のことがあれば、王都に住む数万人……いや、数十万人の命が失われることになりかねない。
更には、王都には首都機能が集中している。
王都の滅亡はメイル王国の崩壊にも繋がりかねないことを考えれば、放置することはできない。
ここ数百年の間にそのような事故は聞いたことがないが……俺は、直感的にこのダンジョンが長くもたないだろうことを感じていた。
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