追放された付与魔法使いの成り上がり 〜勇者パーティを陰から支えていたと知らなかったので戻って来い?【剣聖】と【賢者】の美少女たちに囲まれて幸せなので戻りません〜
第107話:付与魔法使いは暗殺者に感謝される
第107話:付与魔法使いは暗殺者に感謝される
「そういう気配を感じたからだ。『周辺探知』ではわからなかったが、感覚を研ぎ澄ませて注意深く周りを観察すればそのくらい気付く」
一呼吸入れて、説明を再開する。
「『レッド・デビルズ』については、色々とキナ臭い噂を聞いたことがある。普通の冒険者の弱みを握ることで脅して加入させているらしい。例えば、裏切って逃げだしたら、家族を殺す――とかな」
俺の言葉に反応し、ビクッと肩を揺らす暗殺者。
どうやら、噂は事実だったらしい。
「本当の意味で解放するには、一度死んでもらうしかなかった。呪刻魔法の解除のためにわざわざこんなところまで来たのもそれが理由だ」
「な、なるほど……! 納得しました」
「そこまで考えてのことだったのね。……さすがはアルスだわ」
少し長い説明になってしまったが、これで納得してくれたようだ。
「……というわけで、お節介をさせてもらった。見つからないうちに逃げるといい」
「そんな! お節介なんてとんでもないです! ほ、本当にありがとうございます。これでようやく故郷に帰れます。うぅ……」
涙を浮かべて喜ぶ暗殺者。
良い子そうな雰囲気を感じる。
命令されたからとはいえ、反社会的な行動は自分自身を苦しめていたのだろう。
「あ、それで……できれば、誰の依頼だったか教えてもらっていいか?」
ようやく本題に入れる。
俺がこの暗殺者のために世話を焼いたのは、不憫だったからというのも理由の一つではあった。
だが、それ以上にこれを知りたかったのだ。
「わかりました。私が知る限りのことはお答えします」
暗殺者は胸に手を当ててスウッと深呼吸した。
呪刻魔法は、俺がついさっき解除してある。
だが、ずっと恐怖で支配されていたことによる心の傷までは回復することはできない。
もう大丈夫とわかりつつも、内心では事実を話すことを恐れているのだろう。
暗殺者は、声を震わせながらも言葉を紡ぎ始めた。
「アルスさんの命を狙った依頼人は、二人います」
「二人⁉」
「はい。最初の依頼人は、ガリウスという方で……驚くかもしれませんが、先日勇者になった方です」
「やっぱりあの時のはガリウスが依頼人だったのか……」
「お気づきだったのですか⁉」
「ああ。まあな」
暗殺者にとっては俺の反応が意外だったらしく、かなり驚いているようだった。
「それで二人目は?」
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