第97話:ガリウスは死ぬ

 自身の言動を振り返り、反省するガリウス。


 しかし、果たしてこれほどの報復をされるほどのことをしただろうか?


「ごめんね? 邪魔なあなたには、最初から死んでもらうつもりだったの」


「ってことだ。悪く思うなよ」


「私たち、グルなの~」


 それぞれ、フィーラ、マグエル、セレス。


「最初から……? それ……どういう……」


 三人がガリウスの質問に答えることはなかった。


「マグエル、適当な魔物に処理させなさい」


「お任せください」


 マグエルはフィーラの指示を受け、ガリウスを肩に担ぐ。


「がっ……!」


 全身に激痛が走った。


 思わず、ガリウスは声が出てしまう。


 ガリウスにとっては、ほんの少しの衝撃でも激痛だった。


「どこに連れていく……?」


「洞窟の中だ」


 ガリウスは、洞窟の入口にいた魔物数匹の前に、瀕死のガリウスを投げ入れた。


 腹を空かせたウルフがガリウスに食らいつく。


「あああああああああっ!」


 洞窟の中にガリウスの悲鳴がこだまする。


 ガリウスを魔物たちの群に投げ入れた後、すぐにマグエルは踵を返して洞窟を出ていこうとする。


「ま、待って……待ってくれ! 俺を置いていかないでくれ‼」


 最後の力を振り絞って叫ぶも、助けがくることはなかった。


 バリバリ! バキ! バキバキ!


 ガリウスの身体にウルフの鋭い牙と爪が入っていく。


 怪我さえなければ、一撃で倒せるような魔物。


 この状況は、ガリウスにとって屈辱以外の何物でもなかった。


「くそ……なんで俺がこんな目に……! あいつら、絶対許さね……え……」


 抵抗するべくもなく、こうしてガリウスは息絶えたのだった。




 ガリウスが息絶えてから、数十分後。


 食い荒らされたガリウスの肉体はもう骨と僅かな残骸のみになっていた。


 だが、これで終わりではなかった。


 食欲を満たしたウルフのうちの一体の身体が煌めく。


「ガウルルル……?」


 ウルフの魔力がどんどん強まり、比例して肉体が巨大化する。


 直後、『カタリナ洞窟』全体が濃い魔力に包まる。


 何か変化が起きようとしていた――

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