1人称で書かれている

 やれやれと思いつつも俺は席を立つのであった。


 はい、今回は『1人称』を取り扱います。


 ライトノベルではとにかく1人称が流行っています。何故でしょうか。理由は3つ考えられます。

 1つ目は脳内独り言がテンポよく自然に挿入できるから。

 2つ目は主人公以外を視点にする機会が少ないから。

 3つ目は単純に書きやすいし読みやすいから。

 それぞれ解説します。


 まず、脳内独り言とは、『いやなんでだよ』とか『こういうのやめてほしいんだけどなあ』みたいなアレのことです。皆さんも現実でそういうこと考えていた時期はあるのではないでしょうか。共感できますよね。

 

 次に、ライトノベルは往々にして主人公視点で終始進んでいくものです。なので良くも悪くも主人公の感じたことがこのライトノベルの『正解』であり『正義』なわけです。共感できますよね。

 たまに主人公以外の視点から描かれる補完の意味を込めた、いわゆる『〇〇サイド』があります。これは、主人公の視点ではどうしても描けない部分 (悪人同士の会議やヒロインの心境)を描くため、一時的に視点を変えているだけです。


 最後は単純に作者の都合であり読者の都合でもあります。主人公視点の方が物語への没入感が大きいので、作者も読者も疑似体験という形でその世界に入っていくことができます。共感できますよね。


 そう、3つに共通するのは『共感』です。読者は主人公に共感したいのです。

 

 その影響からか、3人称は少々肩身の狭い思いをしているでしょう。でも3人称には3人称のいいところだってあるんですよ。でもそれを語ると長くなってしまうのでまたの機会に。


 ということで次回『女湯は覗くもの』でお会いしましょう。

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