第7話
アンドレ・ギャニオン
この人の楽曲を聴いたことのない人はいないくらい有名なカナダの作曲家だ。
最近YouTubeで彼の音楽をよく聴くようになった。ちょっとWikipediaで見てみたら、去年の暮れに84歳で亡くなっていた…。
ずっと昔に放映された、倉本聡の「優しい時間」で平原綾香が歌っていた曲も作っている。宣番のCMでよくかかっていたので、覚えている人も多いだろう。
映画音楽とかムード音楽にすごくよく合う作曲家だ。メロディも現代と逆行するように、シンプル且つわかりやすく、心の琴線に触れて、いつの間にか彼の音楽世界にどっぷりとはまっている。
心の汚れが芯から落ちていくような感覚に陥ってしまう。もし洗剤に例えるなら、落ちない汚れはないくらいの秀逸な洗剤であろう。
実は一番汚れるのは人間の心ではないかというくらい、自分は心の汚さを見てきている。人の心の汚れもあるが、だいたいは自分の心の汚れだ。
物理的に例えるのなら、肥溜めの千倍は軽く越えるだろうという心の汚れを持って、私たちは何食わぬ顔をして生きているのである。
なんと恐ろしいことではないか…。
人は「心を清浄化させる機能」は生まれながらにして持っているわけではないので、各自がそれぞれ身につけることになる。
その最強なものが仏教(あえて言うなら)。
その次に、美しい心を喚起させる芸術だと思う。
心は扱い方によって、綺麗にもなり、汚くもなる。強くもなり、弱くもなる。
スマナサーラ長老が、YouTubeでの瞑想指導の際に、人の心は「放射能を垂れ流す原子炉」のようなものだといみじくも表現していたが、これほど的確な表現もないだろう。
無限に汚くなり、無限に人に迷惑を及ぼすのが人の心なのだ。
その汚いばかりではなく超危険な心の何たるかも知らずにいる。
超危険な心のまま一生を終えてしまう。
それが私たちなのである。
競争を基調とする社会に、たまたま生まれたわけだが、それはそれで諦めるより他ない。
だからといって、自分の心まで闘争心で汚す必要もないのではないか。
最初はアンドレギャニオンのような美しいと思うものに触れて、ちょっと立ち止まり、肥溜めだった自分の心をクリーニングできる機能を身につけるくらいのことができれば、生き方はずっと清潔的で穏やかになると思う。
彼の人生は、それを私たちに教えるために費やされたと言っても過言ではないだろう。
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